安倍元首相「プーチンには米国への不信感がある」 核共有「現実の議論をタブー視してはならない」

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安倍氏は、保有の議論が進む「敵基地攻撃能力」について、「『敵基地攻撃能力』という言葉にこだわらない方がいい。軍事中枢を狙っていく。軍事をつかさどるインフラを破壊していく。基地である必要は全然ない」と指摘した。弾道ミサイル発射基地に限らず、敵の指揮統制システムの施設などに精密誘導爆弾によるピンポイントで反撃する能力を念頭に置いているとみられる。

以下、番組での主なやりとり。

安倍晋三元首相:いま命の危険にさらされているウクライナ国民、祖国を守るため、家族を守るため、また、私たちと共有する自由、民主主義、普遍的価値を守るために戦っているウクライナ国民に連帯を表明したい。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):プーチン大統領がこれまでの日露首脳会談でNATOの東方拡大への不満を漏らしたことはあったか。

力の信奉者

安倍元首相:(プーチン氏は)基本的な不信感を米国に対して持っている。「NATOを拡大しないはずだったのにどんどん拡大し、ポーランドにはTHAADミサイルまで配備をしているではないか」と。その基本的な不信感の中で、プーチンとしては領土的野心ということではなく、ロシアの防衛、安全の確保という観点から行動を起こしているということだろう。もちろんそれを正当化はしない。彼がどう考えているかを正確に把握する必要はあるだろう。

(写真:FNNプライムオンライン)

松山キャスター:首脳会談の中でプーチン大統領から「NATOが約束を守っていない」というニュアンスの発言があったのか。

安倍元首相:何度か二人だけの時にそういう発言があった。そういう思いは強いのだろう。彼はある意味『力の信奉者』だ。

松山キャスター:バイデン米大統領はウクライナ侵攻前早々に米軍がウクライナで軍事行動を起こすことはないと言った。この発言はプーチン大統領にどう伝わったと考えるか。

安倍元首相:バイデン大統領もさまざまなことを考えて発言したのだと思う。しかし、プーチン大統領のような指導者を相手にする場合、最初から手の内を示すよりも、「選択肢はすべてテーブルの上にある」という姿勢で交渉するのが普通ではないかと考える。

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