パナソニックが全社で推進する“会社に通勤しない“働き方

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在宅勤務制度自体は01年からパナソニックに存在していた。しかし、当時は育児・介護に限定されておりほとんどだれも利用しなかった。また、06年にe−Workの試験導入を行った際でも、当日になって必要な資料を会社に忘れてしまったり、会社から持ち帰ったノートPCのつなぎ方がよくわからなかったりとトラブルが多発。結局、多くの社員は計画的に仕事をすすめることができなかった。

こうしたトラブルを極小化すべく、パナソニックが行ってきた“改善”は数多い。在宅勤務当日にこなすノルマを従業員に意識させるため、仕事の計画書を上司に事前提出させるよう新規に義務付けた。会社のノートPCを自宅のネットにどうつなぐか解説したマニュアルまで用意する徹底ぶり。

「単に場所が変わるだけでは本人も会社にとってもメリットはない。社員がスムーズに自宅で仕事をするための仕組みを整えてあげることが必要」(永木浩子室長)。

 働き方の多様化を進める大企業はパナソニック以外にもある。しかし、そうした企業でも外国人活用や育児支援、障害者雇用などを推進する総体的な多様性推進活動の一貫として位置付けているに過ぎず、同社のように特化した部署を設置している企業は珍しい。

ゆえに、これまで多くの大企業のCSR担当者がパナソニックを“先進的な事例“として尋ねにきた。その際、訪れた各社はきまって「働き方の多様性が必要であることはわかっているけれどどのように社内を説得すればよいのでしょうか」「古い価値観をどのように変えていけばいいのでしょうか」といった社内風土の変え方の質問をする。

「自宅は仕事をする場所ではない」と在宅勤務に否定的な上司が自身の価値観を押しつければ、周囲も硬直化する。いかにして多様な働き方を受け入れる企業風土を作り上げていくかが最大の課題ともいえる。

そしてそれは、パナソニック側も同様だ。「たぶんe-Work推進室の活動がなければまたすぐに制度の利用が減ってしまうだろう。多様な働き方が根付くまでは根気強くメッセージを発信し続けるしかない」と永木室長は打ち明ける。

パナソニックはこれまでも職場ごとで定期的に在宅勤務の体験報告会を開催したり、各ドメイン会社の経営陣に在宅勤務実践を要請したりといった啓発活動を行ってきた。今後も定着化に向けた意識改革を全社的に促していく方針だ。

(西澤佑介=東洋経済HRオンライン)

人事・労務が企業を変える 東洋経済HRオンライン

 

 

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