なぜ中国はヒステリックになったのか 中国が真のリーダーになるために必要なこと

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日本人と中国人は、同じ東洋人であり、歴史や伝統も共有している部分が多いので、よく思い違いをする。私が対中国を主体とするビジネスマンとして一番違和感を覚えるのは、平気で嘘をつく人が増えたことと、相手が困った時、自分の立場が弱ければ将来の見返りを期待して助けるが、自分の立場が強くなったと思えばカサにかかって叩いてくる発想である。

これは伝統的に競争社会の中で生き残る知恵であったから、仕方ないと思ってあげてほしい。彼らは地縁や血縁しか信じていない人も多く、相手の立場になって考える習慣が少ないのだ。

一方、日本人は「協調することが当たり前」だと思っているから、相手につけ込まれやすい。交渉になった時にも、まず日本側から妥協案が出てくることが多い。日本人は病的なほど揉めごとが嫌いで、交渉すること自体に慣れていない国民性がある。中国人はそれを知っているから、相手が下手(したて)に出ると、カサにかかってくるのだ。

外交やビジネスは「ギブアンドテーク」なのだから、何も「一歩も引くな」と言っているわけではない。だが、ビジネスの立場からも言わせてもらえば、ただ「下手に出ていればよい」、あるいは「もめたくはない」というスタンスで接していると、かえって結果は悪くなることのほうが多いということだ。

中国は日本の約26倍の国土に、13億人が暮らしている。一見大国に見えるが実際には沿海地域が開発されているだけで、内陸地方はまだまだ開発が進んでおらず、未成熟な国家である。日本人はついつい「中国の外交力は超一流」だと勘違いしている人が少なくないようだが、これは日本の大マスコミのミスリードである。

鄧小平の時代は、野心を隠しつつ、相手に近寄るという懐の深さがあった。逆にいえば、それだけ底知れぬ恐ろしさがあった。だが今の中国を見ていると、「国内の不平不満をそらすために、ヒステリックに相手に接しているとしか思えない」という外交のプロの意見は少なくない。

もちろん、底の深さ・浅さについては、日本も問われるところだ。だが、中国が真の世界のリーダーになるためには、足りないことだらけだ。こうした課題を克服して、中国は果たして鄧小平時代の懐の深さを取り戻すことができるのだろうか。

中村 繁夫 アドバンストマテリアルジャパン社長

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なかむら しげお / Shigeo Nakamura

レアメタル(希少金属)の専門商社「アドバンスト・マテリアル・ジャパン代表取締役社長。中堅商社・蝶理(現東レグループ)でレアメタルの輸入買い付けを30年間担当。2004年に日本初のレアメタル専門商社を設立。著書に『レアメタルハンター・中村繁夫のあなたの仕事を成功に導く「山師の兵法AtoZ」』(ウェッジ)、『レアメタル・パニック』(光文社ペーパーバックス)、『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)などがある。

 

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