なぜ中国はヒステリックになったのか

中国が真のリーダーになるために必要なこと

2011年の3月に東日本大震災が起こったのは、まさにそんな時である。だが、日本の国難という環境の中でも、中国は輸出政策を見直すどころか、さらに値上げをしてきた。戦国時代の上杉謙信のように「敵に塩を送る」のはどうかとしても、残念ながら、中国ビジネスはこうした発想はほとんどないことがわかる。「政治的に有利に交渉できるはずだ」と考える人々が優勢なのである。

戦前・戦中を知っている高齢の日本人なら、従来から「儒教の教えは中国から来たものだから」と中国に対するシンパシーが多少なりともある。だが日本の若い世代になると、東日本大震災という未曽有の国難の時を利用して「レアアース戦争」を仕掛けてくる中国の「いやらしさ」に反応せざるを得ないのだ。

だが皮肉なことに、結局、日本は代替材料を開発して、リサイクルの研究もできたし、新しい供給ソースも開発して、中国のレアアースの戦略的重要性は、ほぼ無くなりつつある。今や、インド政府との間で安定的レアアース供給の合意ができたので、逆に中国は「頭を下げて」原料を出したいとまで言ってきている。いわば中国のおかけで、日本はレアアース供給の多様化と、資源確保に成功しつつある、と言える。

「中国流」に惑わされるな

見方を変えれば、レアアースの一件でわかるように、日本のマスコミが考えるほど中国は戦略的な考え方を持っているわけではない。「石を池に投げて、その波紋を見て反応を測る」のが中国流なのだ。石を「ぽっちゃん」と池に落として、その波紋を見ながら決定する中国人の思考方法は、よく言えば柔軟性に富んでいるとも言える。だが短絡的で考えが浅いという見方もできる。

例えば、2014年8月の南沙諸島の海底油田を巡る問題について、中国はベトナムを舐めて、黙って探査船を送り込んだ。だが、その後中越艦船が衝突して一触即発の状況にまでなった。ベトナムの激しい反中デモとベトナム政府の外交力の前に、世界の世論がベトナム側についた風向きを見て、突如として事実上掘削作業を止めた。

この事件が典型的な中国流のやり口である。うまく行けば黙って実効支配をするし、調子が悪くなると、急きょ手を引くような手法が中国流なのだ。簡単に言えば、何事についても決めつけることはせず、融通無碍で、周りの影響を見ながら、「勝ち馬に乗る」思考方法である。

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