派遣法改正でITエンジニア30万人に迫る危機

雇用環境がますます不安定に

すでに個人事業者として仕事をしている技術者にとって、そのような状況は歓迎すべきかもしれないが、留意しておかなければならないのは、個人事業者がソフト会社と契約して、ユーザー(ないし発注者)先に派遣された場合、違反となる可能性があることだ。理屈上だが「事業者が自分自身を派遣することがあり得る か」ということばかりでなく 、「契約先から派遣されれば二重派遣に相当するのではないか」という疑問が提示されている。

併せて、 IT技術者は派遣か受託かの選択に迫られるという見方がある。腕に自信がある技術者はフリーランスのプロとして、原発注者と直接契約を結ぶことも夢ではな い。ユーザーの パートナーとなって、ITを駆使した新しいビジネスを創出する役割を担うようなことだ。あるいは、登録型派遣業に転籍して、より高額の収入を狙うような ITエンジニアもいるかもしれない。

結局は技術者自身の研鑽

派遣法改正案の主旨が「より柔軟な就労形態」「より自由な働き方」にあるとすれば、腕に自信のある技術者はその恩恵に浴することができる。ただ、それは相対的に少数に限られ 、下請けの取引ポジションにある中小・零細ソフト会社に所属して、 実質派遣で働いている多くの技術者は、登録型派遣との価格競争によって、より不安定な雇用環境に追い込まれかねない。ユーザーのコスト圧縮要請もあって、受注料金が登録型派遣に引き寄せられ、いつでも取替え可能な“部品”として扱われる。

となれば、派遣法改正の落とし穴を回避するためにも、IT技術者はいっそう腕を磨くなり、見識を広げるなり、自身の価値を高めていかなければならない。「誰かが何とかしてくれる」ようなことだけは決してない。

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