「離婚は縁切り」で子は幸せか、「共同親権」へ国民的議論を


 棚村氏は、「共同親権化は第一歩だが、これですべて解決できるわけではない。子供にとっていちばんよいルール、仕組みは何かという問題意識の中で、共同親権を含めた幅広い選択肢を持つことが、子供にとっても社会にとっても有益」と解説する。

「離婚は縁切り」だからと、離婚後、子供が両親に自由に会う権利を一方の親が剥奪することは、国際的にも認められない。不幸にして離婚した元夫婦が、共に子供の養育・教育に責任を持つ「共同養育」への意識改革が求められている。欧米の実証研究では、離婚後も両親が養育にかかわるほうが子供の成長にもプラスとの結果が出ている。養育費の支給率や面会交流の割合が国際的に見て低いことは、日本社会の成熟度の低さを示しているとはいえないか。

ハーグ条約批准を目指す政府だが、共同親権化には民法改正が必要であり、今回は見送る方針とされる。だが、棚村氏は、「ハーグ条約と民法など国内法整備は、セットで行うべき」と主張する。国内外での法制度の不整合が新たな紛争を招きかねないからだ。外圧に対する対症療法ではなく、社会の構造変化にかなった法整備が望まれる。

離婚増と少子化により、子供の4・5人に1人が成人するまでに親の離婚を経験する時代になってきた。子供の福祉、多様化する親子関係への対応、そしてさまざまな家族・人間社会を許容できる成熟した社会形成のためにも、共同親権化への国民的議論をすべきときである。

(シニアライター:野津 滋 =週刊東洋経済2010年10月30日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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