デュポン会長兼最高経営責任者 エレン・クルマン--世界人口の大幅増が商機 食糧やエネルギーに活路

拡大
縮小


--世界的な人口増を商機ととらえる一方、人口増は環境破壊ももたらします。四つのメガトレンドの全体最適は取れるのでしょうか。

それぞれの業界・地域ごとに特異性があり、それに合わせた展開が必要となるだろう。デュポンが、それぞれのお客様の状況に合わせた技術を提供するところに意味がある。

新興国では農業分野だ。農薬や種苗など、デュポンの技術は新興国の成長に大きくかかわっていける。自動車産業向けをはじめとしたコーティング分野も有望だ。これまで米国や日本などの先進国地域で培った各種技術を、新興国に合わせた仕様に落とし込み、開発・供給していくことに、大きなチャンスを見いだしている。

-- 一方で、日米欧の先進国地域は経済成長が鈍く、伸ばしていくのはなかなか難しい。

すでに事業基盤を確立している日米欧については、顧客企業とより密接に連携を図ったうえでの、新製品開発やイノベーションがポイントになる。

自動車分野で例を挙げれば、金属の代わりに耐熱性の高いプラスチックを提供することで軽量化が実現でき、省エネ性も高められる。顧客企業としては、コスト削減につながるだけではなく環境にも優しいメリットがある。また、これまで4回に分けて塗装していた工程を、3回に減らせるようなコーティング技術が提供できれば、さらなるエネルギー効率の向上につながる。

そして何よりも、日米欧を中心とする研究開発拠点で先進技術を生み出せれば、それを順次、需要拡大が見込まれる新興国にも応用していける布石となる。

化学をベースにしたサイエンスカンパニー

--208年の歴史の中で、つねに主要な事業を変化させて勝ち残ってきました。次の100年は、どういう経営方針で望まれますか。

世の中や企業の抱える問題はつねに変わり続ける。私たちはいつもマーケットに近いところで、顧客の声を聞き、それに基づいた研究開発を通じてイノベーションを生み出してきた。これからも、同様な経営スタイルを続けていけば、つねに必要なものを提供することができる企業として、勝ち残っていける。化学をベースにしたサイエンスカンパニーとして、ビジネスに結び付く研究開発を続けていく。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT