少子化社会ではむしろ職場の喪失こそ問題に--『5年後の日本と世界』を書いた田中直毅氏(国際公共政策研究センタ−理事長)に聞く

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──その番号にはどのようなものを使うのですか。

住民基本台帳番号を基本にしてはどうか。そこに年金、租税、医療などそれぞれを「ひも付けした形」にする。それぞれの管理は個別にする。この活用は、意思決定すればすぐにもできることだ。

──自治体と補助金給付の一括化も大きなテーマになっています。

コミュニティを担う自治体が自助、共助、公助の仕組みをどう作るかにかかわる基本的な問題だ。それには、責任と権限をコミュニティレベルで持つべきだという考え方が背景にある。浪費を避ける、あるいは自助と公助、公助と共助の関係を仕分けて、どう効率的なものにするか。これは政府ではできず、マネジメントのしっかりした保険者機能をコミュニティレベルで見いださなければ、財政赤字が積み上がりかねない。財政破綻はそういうメカニズムを通じて起きる。

(聞き手:塚田紀史 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年10月23日号)

たなか・なおき
1945年生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。97年21世紀政策研究所理事長。20 07年4月より現職。著書に『最後の十年 日本経済の構想』『埋没する国家』『市場と政府』など。

『5年後の日本と世界』 講談社 1680円 270ページ

  

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