日本人は世界でカモにされ、なめられている--『管見妄語 大いなる暗愚』を書いた藤原正彦氏(数学者、エッセイスト、お茶の水女子大学名誉教授)に聞く


──観光客狙いですか。

いや、人だけではない。会社、国に対してもだ。それも世界中で。

たとえば例のトヨタの欠陥車問題では、アメリカに国を挙げてさんざんたたかれた。中古車の価格が下がったと集団訴訟で1000万人、2兆何千億円の訴訟という騒ぎだ。あるいは東芝は、パソコンの理論的不具合の可能性によって1100億円払わされている。日本企業は脅せば払う、訴訟すれば和解する。世界中がそう思っている。日本政府はいっさい助けない。

──国に対しても……。

今回の尖閣列島は格好の例だ。そういう日本人だと知っているから、中国も脅してくる。日本および日本人がどうしてそれほどお人よしなのか。戦後、ずるがしこいことをいっさいしなくなったのは、憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と書き、自国の生存を他国に任せたからだ。これがすべての起点となっている。

日本はアメリカからグロバーリズムを押し付けられて、まだその苦境からはい上がれないでいる。すぐに言われたことを信じてしまうからだ。経済上は世界中が真の敵であり、アメリカは軍事上、唯一の同盟国だとしても、経済上は不倶戴天の敵だ。この認識をきちんと胸の奥に忍ばせて、アメリカの忠告は聞かないといけない。表面上ニコニコで済ます。これが外交であり経済だ。

──尖閣問題はどうすれば。

中国に対して、ふざけるなの一発でいい。世界にこういう証拠がこれだけあるとどんどん発信する。中国相手のときはけんか腰でないといけない。友愛だとか、今回譲歩したらいずれ譲歩してくれるだろうとか、誠意を示せば理解してくれるだろうとか、日本人同士ならそれでもいいが、中国相手でそんなことは何の意味もない。軍事力が大きいからひるんだと思われるだけだ。

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