リクルート峰岸社長「今後は世界でM&Aを」 ベンチャーのDNAを持つ大企業の挑戦

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「新事業を生み出す新たなヒーローを作る」と語る峰岸社長(撮影:尾形文繁)
10月16日に東証1部に上場したリクルートホールディングス(HD)。時価総額は2兆円を超え、名実ともに大企業の仲間入りを果たした。今後目指すのは2020年に人材領域で、30年に販促領域で世界ナンバーワンだ。上場後の姿をどう描くか、峰岸真澄社長(50)を直撃した。

 

──株式上場の目的は。

世界ナンバーワンを目指すという長期成長戦略の一環にすぎない。上場の目的は3点あり、財務戦略の多様性と経営の透明性、グローバルでの信頼性向上だ。国内の格付け会社で「シングルA」の獲得を想定、有利子負債の調達含め、今後3~5年で7000億円程度の投資余力を考えている。世界で知名度を上げ、投資活動を進めていく。

──買収案件の選別はどうやるのか。

事業のトップが買収プロジェクトの責任を持つ。証券会社にいい情報があると言われても、「この会社のCEOはこういう人です」と当社が答えられるまで、世界中のCEOやマネジメントチームのドアをノックしまくっている。

海外で通用する人材は豊富にいる

──英語力や海外経験の豊富な役員が少ないのでは。

それは誤解だ。執行役員17人中、5人が海外で働いている。投資基準も厳格で、少額出資から実績を積み、事業計画を起案した担当者が買収会社のトップに就任している。たとえば2012年に965億円で買収した求人サイトの米インディードの場合、出木場(いでこば)久征・執行役員の下に投資チームがついて買収を進めた。今は出木場がインディードのCEOに就任し、計画どおりの成長を達成している。

買収される会社は儲け方がわかっていない場合が多いため、当社から2~3人を派遣してノウハウを移植する。海外企業の買収で売上高を約3000億円増やしたが、これにかかわったのは20~30人。今後1兆円まで増やすには、せいぜい100人弱でいい。その程度の人材のパイプラインなら社内にある。

──リクルートの3事業である人材派遣、人材メディア、販促メディア以外に、新規事業が生まれていない。

これ以上、何のやりようがあるのか。特に販促メディアの対象は何でも新事業になる。当社の考え方は企業と生活者をつなぐマッチングサービス。採算より、まず産業側の生産性や生活者の利便性を上げ、個の課題を解決したいという考えが根底にある。

社内ラボでスマートデバイスのサービスを複数開発しており、その段階ではゲームなどの事業も否定しない。でもいずれは社会的な意義へと昇華する必要がある。

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