快走パナソニック、足元に残る"不安"とは 中期経営計画を1年前倒しで達成へ
しかし、構造改革は道半ばながら、効果は収益面で着々と表れている。今後の重点課題はむしろ、いかに売上高を伸ばすかにシフトしているといえる。「16年度から実施予定だった成長に向けた戦略投資を1年前倒しで、15年度から実行に移していく」と津賀社長は会見で明かした。
売上高拡大のカギとなるのは車載、住宅、BtoBの注力3分野だ。車載については米EVベンチャーのテスラモーターズ向けのリチウムイオン電池工場の投資を進める一方、今期はスペインの自動車用ミラー大手、フィコサ・インターナショナルとも資本提携。事業領域を着々と広げている。
問われる次の一手
ただ車載分野はコックピット周りを米アップル、グーグルなどITの王者も狙うほか、注力するADAS(先進運転システム)分野においても、「パナソニックは決して製品群や開発力で優勢とは言えない」(アナリスト)。戦略投資の成否が将来を左右することになる。
さらに住宅分野でも、重点分野と位置づけるASEANなど新興国向けの住宅販売はこれからが本番。BtoB分野についても、稼ぎ頭となる事業の数をどうそろえるかは未知数だ。
優先した赤字事業の止血や手元資金確保により、重視する「ネット資金(現預金-有利子負債)」は11年度の1兆円近い赤字から、足元では黒字にまで改善している。「タイムリーに投資する形に整えてきた」(津賀社長)。今後いかに、その資金を成長領域に投資していくか――。津賀社長の構造改革の「次の手」が問われることになる。
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