レオナルドは、目を向けたり眉をひそめたり、目を大きく見開いて喜んだりする表情を作り出すことができる。人間とのやりとりで、相手の声の調子からその時の気分を認識し、それに合わせて対応する。人間が差し出したモノを学習して、別のモノと見分けたり、指を指してモノのありかを示したりもする。下を向いて考えている表情などは、まるで本物の生き物のようだ。
レオナルドの開発の根底にあるのは、子供の発達過程で見られる学習や人とのやりとりの習得。単純なことから少しずつ学ぶのだが、その相手をするのが人間であるというところが、本当の子供と同じなのだ。
ロボットの最後のフロンティア?
シンシア・ブラジルは、科学者の両親の元に生まれ、小さい頃からロボットに関心があったという。10歳の時に見た映画『スターウォーズ』に刺激され、そこに登場するR2-D2やC-3POを「最高にかっこいい」と感じたという。そんなロボットと友達になりたいと強く思った。
修士課程と博士課程で在籍したマサチューセッツ工科大学では、世界的に有名なロボット研究者ロドニー・ブルックスに師事。昆虫ロボットやヒューマノイド・ロボットの開発に携わった。
その後、自分自身の研究室を持ってから手がけて来たのがソーシャル・ロボット。いろいろな性質と機能を備えた何世代ものロボットを作ってきた。上に挙げたレオナルドに限らず、ブラジルの生み出したロボットは、子どもが絵本を読む際にそばにいて理解を助けたり、自動車の運転に際して情報を提供し、タブレットなどのデバイスよりもサポート効果を果たしたりすることが明らかになったという。
その研究のひとつの帰着が、ジーボである。
「家庭ロボットは、ロボットの最後のフロンティア」とブラジルは語っている。工場でちょっとした仕事を担うロボットや、家庭で使えるお掃除ロボットは出てきたが、家族とやり取りして、まるで家族の一員にようになれるロボットはまだいない。その先駆けになるのがジーボなのである。
ジーボは、家族それぞれの顔を認識して、各人に合った情報を提供する。「30分後に友達が迎えに来ますよ」といったリマインダーもしてくれるのだ。家に帰ったら、知り合いから電話やメールが入っていたことを伝え、音声でそれを読み上げてくれたりする。子どもと一緒に童話を読み、効果音などを演出することもできるようになる。そして、家族に合った機能を、どんどん独自に学習していくだろう。
今秋、クラウドファンディングでジーボの開発資金を募ったところ、予想を大きく上回る約230万ドルが集まった。一般向けには2015年末に出荷される予定だ。
「ロボットは感情のあるコンパニオン」。ロボット開発者がどんなロボットを世に送ってくるかによって、ロボットと人間の関係は決定する。ブラジルの描くロボット像が、われわれにそのいいスタートを切らせてくれることを期待したい。
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