「見た目は中年・心は乙女」シニア婚活で見た女たち 「私、金のかかる女なの」と言い放つ47歳の強気

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注文し、料理を待つ間、かずおはまず自分の会社の名刺を出して渡した。名刺を見ながらまりが仕事の質問をしてきたので、それを答えているうちに、前菜が運ばれてきた。そこから食事が始まったのだが、まりは、これまで自分が“いかにモテてきたか“を語り出したという。

年収1500万以下と付き合ったことがない

「『年収が1500万以下の男性とはお付き合いしたことがない』って言うんですよ。僕は1000万だけど大丈夫かな、って。あと、『これまで結婚をしようと思った男性もいたけれど、最後の最後で決断できなかった』。極めつけは、『私って、お金のかかる女なのよ』って言うんです。もう苦笑いでしかありませんでした」

食事の間中、マウントを取られているのを感じていたが、婚活とはこんなものなのかとも感じていた。そして食事を終え、会計の段になったら、まりは当たり前のようにレジを素通りして店の外に出たという。

「もちろんごちそうするつもりでいたから、それでいいんですけど。ただね……」

こう言うと、また苦笑しながら続けた。

「彼女の連絡先を聞いていなかったので聞いたら、『ごめんなさい。食事をしながらお話していて、価値観が合わない気がしました。私、わがままな女だから、あなたには寄り添えないと思います』って、クルリと背を向けて帰っていきました」

47歳初婚にして男性を選ぶ気満々な様子に、かずおは目を白黒させて、去っていく後ろ姿を見送るしかなかったという。

この経験から、次のパーティーでは見た目が華やかなタイプではなく、地味でおとなしい女性のほうがよいのかと思うようになった。

そうして5回目のパーティーでマッチングしたのが、同い年のあきえ(仮名)だった。夜のパーティーだったので、マッチングした後に軽くお茶をし、その日は連絡先を交換して次に会うデートの約束をしたという。

「最初のときは店選びで失敗していたので、鯛しゃぶが食べられる、ちょっといい店を予約したんです。そうしたら、すごく恐縮してくれて。お会計のときも『私、少し出しますよ』って、気を遣ってくれたのがうれしかった。もちろん、ごちそうしましたけど。『こういう謙虚な人なら、いい感じで進んでいくのかな』って思っていたんですね」

ところが、二度、三度会っても、まったく2人の距離が縮まらない気がした。そこで、四度目の食事の帰り、駅まで歩く道すがら思い切って手をつないでみた。嫌がるそぶりもなかったので、これからうまくいく可能性を感じていた。しかし、翌日にこんなLINEがきた。

「こんなことを言っていいのかどうか悩んだんですけど。私、かずおさんの手が無理でした」

「手をつないだのが嫌でしたか?」と聞くと、「というか、手が無理で」と言う。

次ページ手が無理という、あきえの言い分
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