パンダ来日の扉を開いた?ニクソン訪中から50年 世界に広がるパンダ中東で初めてカタールにも

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リンリンとトントンの間に子どもは生まれず、トントンは2000年7月に死亡。1頭になったリンリンは繁殖のためメキシコへ行くも、繁殖には至らず、メキシコから雌のシュアンシュアン(双双)が来て、2003年12月~2005年9月に上野動物園で過ごした。シュアンシュアンの母親は、前述の1975年にメキシコへ来たパンダだ。

シュアンシュアンは34歳と高齢になった今もメキシコで暮らしている。同園には31歳の雌のシンシン(欣欣)もいる。中国国外にいるパンダで中国に所有権がないのは、この2頭だけだ。上野動物園でリンリンが2008年4月に息を引き取ると、上野にパンダがいなくなった。

リーリーとシンシンが中国から来たのは2011年2月21日。約3年ぶりに上野動物園に来たパンダだ。2頭は午後8時50分ごろ成田空港に到着。パンダの姿はお披露目されないにもかかわらず、上野動物園に集まってパンダの到着を待った報道関係者は筆者を含め193人に上った。2頭を載せたトラックが上野動物園に入ってきたのは午後11時36分。2頭がパンダ舎に収容された時は日付が変わっていた。

協力金を値切った石原慎太郎

リーリーとシンシンは、上野動物園で初めて自然交配(交尾)で繁殖に成功したパンダだ。2017年6月に生まれた雌のシャンシャン(香香)は、日本にパンダブームを巻き起こした。

リーリーとシンシンは、日中のパンダ保護研究のため、中国から貸与されており、当初の期間は10年間。保護研究の協力資金として東京都が中国側に支払う金額について、東京都知事の石原慎太郎氏(2022年2月死去)は2010年2月の会見で「大体これ100万ドルになるんですが、5万ドル値切りまして、年間95万ドル(当時のレートで約8500万円)を支援することになります」と述べた。

リーリーとシンシンは、滞在期限を前にした2020年12月、5年間の延長が決まり、2026年2月20日が期限になったと東京都が発表した。シャンシャンの中国返還期限は、新型コロナウイルス禍のため延長を重ね、現状では2022年6月末となっている。2021年6月に生まれた双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)の返還時期は未定だ。

現在、パンダは中国本土以外で22カ国・地域の26カ所の動物園に82頭いる。このうち13頭が日本で暮らしている。

そして最近、ビッグニュースが飛び込んできた。新華社通信によると、中国の習近平国家主席は2月5日、中国はカタールと協力して、パンダの受け入れに協力する準備ができていると述べた。カタールにパンダが来るとの話は、2020年夏にパンダ舎建設のための入札の話があって筆者も確認していたが、いよいよ来園が現実的になった。

カタールのメディアによると、パンダが来るのは、2022年10月21日に同国で開幕するサッカーW杯の前だという。実現すれば、中東に初めてパンダが来ることになる。ニクソン訪中から50年。パンダの人気と存在は世界中に広がっている。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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