パンダ来日の扉を開いた?ニクソン訪中から50年 世界に広がるパンダ中東で初めてカタールにも

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スミソニアン国立動物園で生まれたシャオチージー。2021年10月20日撮影(写真:スミソニアン国立動物園)

今日2月21日は、かつて日本のジャイアントパンダ界にとって、2つの大きな出来事が起きた日だ。1つは、第37代アメリカ大統領、リチャード・ニクソン氏の訪中50年。もう1つは、上野動物園で暮らす雄のリーリー(力力)と雌のシンシン(真真)の来日11年だ。

1972年に中国から来園したパンダが入っていた輸送箱とニクソン大統領の訪中時の写真。スミソニアン国立動物園で展示(写真:2018年筆者撮影)

東西冷戦下の1972年2月21日、ニクソン大統領(文中の肩書はすべて当時)は、現職のアメリカ大統領として初めて中華人民共和国を訪問した。米中が対立する中、1971年に突然発表して世界を驚かせたこの訪中はもう1つの「ニクソンショック」とも呼ばれた。

その約2カ月後の4月16日、アメリカの首都ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園に、中国から2頭のパンダがやってきた。雄のシンシンと雌のリンリンだ。同園によると、北京における晩餐会でニクソン夫人が中国の周恩来首相に「パンダが好き」と話したらしい。

決定からわずか1カ月後にパンダが来日

中国によるパンダのプレゼントは、これで終わらなかった。田中角栄首相と周首相は1972年9月29日、中国の首都北京で共同声明に署名し、日中国交正常化を果たす。署名後の会見で、二階堂進官房長官は2頭のパンダが日本に贈られると発表。国内の複数の動物園がパンダ受け入れに名乗りをあげた。結果、上野動物園に決まった。

中国から雄のカンカン(康康)と雌のランラン(蘭蘭)が上野動物園に到着したのは10月28日。来日決定からたったの1カ月だ。同園でパンダの飼育経験があったのは、イギリスのロンドン動物園で研修中にパンダの飼育管理にふれた中川志郎氏(元上野動物園園長)だけ。パンダ来園の日が迫る中、飼育の参考になる資料や文献の収集に努めたものの、わずかしか入手できなかった。

カンカンとランランは1972年10月28日午後6時50分に羽田空港、午後8時30分に上野動物園に着いた。当然ながらパンダ舎の建設は間に合わない。2頭は、パンダ舎が完成して1973年5月7日にそこへ引っ越すまでの間、トラ舎の東側で飼育された。中国からは通訳を含め3人がパンダに同行してきた。早速、検疫場所として準備していた動物病院が不適切だと指摘され、トラ舎での検疫に変更した。

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