将来に絶望する若者に知ってほしい幸福の捉え方 「未来があることは不幸」と考えないで

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若者と哲学者の対話から、将来に絶望しない生き方を考えてみませんか(写真:topic_kong/PIXTA)

不景気、新型コロナ、悪政、気候変動……「未来があっていいね」と大人はいうけれど、希望が持てないこれからを生きる若者にとっては、“時代ガチャ大ハズレ”としか思えない。社会に振り回されず、幸福になるためには、どのような生き方をしていけばいいのか? 本稿では哲学者の岸見一郎氏による『絶望から希望へ』より、とある哲学ゼミで繰り広げられる、悩める若者と哲学者の対話を通し、将来に絶望しない生き方を考える。

未来があるのは不幸なのか

登場人物
岸見一郎(以下――)
A 哲学を専攻する大学3年生。就職活動中だが、親の希望する就職先と、自分の生きたい人生にズレがあり悩んでいる。
B 社会人3年目。未来に悲感的。営業の仕事をしているが、ノルマ優先の働き方に悩んでいる。婚約していた相手と破局し、男性不信になっている。
C 社会人5年目。夢を叶え、マスコミ関係の仕事をしているが、パワハラ上司に悩んでいる。ネガティブになりがちな自分を克服したいと思っている。成功して自信を持ちたい。

B:今、私たち若者と呼ばれる世代は、自分ではどうしようもないところでの問題が山積みです。政治家は利権ばかり考えて国民のことをちゃんと考えない悪政の世ですし、気候変動で災害が頻発して、いきなり家が失われることもありえます。今後の経済成長は見込めず、給料は上がらないのに税金だけがどんどん高くなり、将来的に困窮するかもしれません。

「若者は未来があっていいね」という、大人から投げかけられる決まり文句のような言葉がありますが、先のことを考えると、むしろ未来がある方が不幸なのではないかと思ってしまいます。

こんな社会でも、存在しているだけ、生きているだけでも幸福でいることが可能ということですか?

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