リクルートはエンジニアの楽園になれるか? 「営業×エンジニア」、異文化共存の道

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“第3の創業”ともいえる激しい変革に挑戦しようとしているリクルートだが、それでも今後も変わらず持ち続けるべきDNAがあるという。今村氏の言葉に耳を傾けよう。

「リクルートが変えてはいけないDNA、それは『圧倒的な当事者意識』を持っていること。“会社が”“上司が”ではなく“自分が”どうしたいのか。上司も毎日のように『君はどうしたい?』とメンバーに問う。その精神はずっと受け継がれていくだろう。これまで『皆経営者主義』で考えられる人を採用してきた。

“自分が社長だったらどうしたいか”という当事者意識をつねに持って、マーケット、従業員、社会、クライアント、カスタマーを見つめて仕事をしているか。ここが大事だ。海外展開をしてもおそらく変わらないだろう。将来、中東やアフリカなど世界中で、『わがごと』で考えて動ける従業員が散らばっているか。そういう人を仲間に加え続け、浸透させてリクルートは生き延びる」

しかし、だ。このリクルートのDNAをエンジニアに当てはめることができるだろうか。多くのエンジニアは経営者になりたいわけではなく、純粋にテクノロジーを極めたい。そういう人たちだ。ここは、リクルートが直面する重要なテーマのひとつであり、経営、マネジメントも新たな認識を持つ必要があるようだ。

「エンジニアには、今までにないレベルでの自由を与える風土を作らなければいけないだろう。リクルートは、もともと個人の希望を重要視する文化ではある。ただ、エンジニアを生かすためには、さらに違う次元を考えなければいけない。あえてできるだけ干渉しないようなスタイルに変えなければいけないのではないだろうか」(今村氏)。

創業以来、リクルートが培ってきたDNAに、“エンジニア”というまったく異なる文化を持つ人材をどう接合させるか。

リクルートは、エンジニアの楽園になれるのか。“異文化の共存”、リクルートがグローバルネット企業に変貌できるかどうか――。重要なカギのひとつはそこにある。

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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