リクルートはエンジニアの楽園になれるか? 「営業×エンジニア」、異文化共存の道

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現在、IT-EXEは15人。課長職から抜擢された人物もいる。最年少IT-EXEは31歳だ。IT業界の経験、スキル、能力があれば、年齢は関係ない。

(4)「研究開発」:研究開発と先端投資で破壊的競合に挑む

破壊的イノベーションを生み出すうえで、重要な施策のひとつが「研究開発」だ。

前回レポートしたように、リクルートは、自らの手で破壊的競合、破壊的イノベーションを生み出そうとしている。そのための手段は大きくわけて2つある。既存事業の競合になりうる新規事業を自前で生み出すか、あるいは、脅威になりそうな企業にむしろ積極的に投資をしていくか。これら2つを「研究開発」と位置づけている。

この部分を担うのが、2014年4月、峰岸真澄社長直轄の組織として新設された「RIT(Recruit Institute of Technology)」という約60人の組織だ。リクルートホールディングスグループエグゼクティブの岡本彰彦氏がトップを努める。RITは研究開発と投資の2分野で、大きく予算をつけて強化するため切り出した新組織だ。

クレイトン・クリステンセンは、『イノベーションのジレンマ』の中で、トップ企業がイノベーションを生み出すためには、従来の組織とは切り離した完全独立型の組織を置く必要があると説いている。リクルートが立ち上げた独立組織がRITだ。

RITのうち、新事業を開発する30~40人の研究開発部隊が、MTL(メディアテクノロジーラボ)。これまでの成功パターンであるリボン図におけるマネタイズを考えず、ユーザー主義のB2C向けアプリの開発をしている部隊だ。「内部的には、とにかく、LINE級のものを作れと言われている」と今村氏は話す。

一方の投資開発室は、米国・欧州・日本を含むアジアの企業に投資を仕掛ける。「IoT」「ウェアラブル」「人工知能」などITの先端領域への投資をするための50億円のファンドを創設した。シリコンバレー常駐のメンバーも2人いる。リクルートの既存事業の脅威になりそうな企業にも、積極的に日本へのビジネス進出の手助けをすることで、逆に陣営に引き入れる。リクルート自身、既存事業の磨き込みの点で学べることもあるので、定期的にミーティングをしている。

たとえば、欧米で盛り上がっている、大学の講義動画をネット上でユーザーに無料提供するMOOCs(ムークス)分野。将来的に、リクルートの進学事業にとって、競合になるかもしれないこの分野にも出資をしている。

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