「ゼクシィ」「ホットペッパー」「R25」「受験サプリ」など、リクルートの代表的サービスを生み出してきた新規事業提案制度「New RING(ニューリング)」。若手社員からの応募が多く、昨年は、内定者だけのチームがグランプリを受賞、そのまま研究開発部隊MTLに配属された内定者もいた。
2014年4月、「New RING」が、ITの新ビジネスモデルの開発を目的とし「New RING ‐Recruit Ventures‐(リクルートベンチャーズ)」と生まれ変わった。
目的を「ITによる新ビジネス開発」と明確にし、開催回数を年に1回から毎月に増やした。MTL(メディアテクノロジーラボ)が、新生New Ringの事務局の役割も担う。
審査員には、米シリコンバレーの第一線で働くベンチャーキャピタリストや起業家も加わる。ネットサービスに要求される“ユーザー目線”が問われるなど、審査基準も大きく変わった。
「昔は、二言めには、『どうやって儲けるのか?』と必ず聞かれたが、最近はほとんど問われなくなった。むしろ、『10万~100万人のユーザーをどのように集められるのか? どんな調査をしてわかったのか』など、そういう質問をするようになった」と今村氏。
リクルートにとっては、とても大きな転換だ。つねにビジネスとしての収益性を厳しく問うてきたが、まず“ユーザー目線”などネットサービスに適した視点に変わっている。
「営業×エンジニア」異文化の共存はうまくいくのか?
エンジニア増員、ユーザー目線の強化、グローバル化など、急激に変わろうとしているリクルート。ともすれば、既存の営業部隊からの反発を招きかねない。企業の中で新しいことを始めると、決まって既存事業側が足を引っ張るのが世の常。ましてやリクルートのような大企業ならなおさらだろう。
だが、それについて今村氏は明確に否定する。リクルートには、持前の“つねに新しいことをやる”という文化があるので、そうした点は障害にならないという。
「ITやネット、グローバルは、間違いなく今後の潮流。『IT×人』でリクルートがどう進化するか。営業を含め、皆が同じ方向を向いている。もちろん、(足元の)業績がいいことが安心材料になっているだろうが」(今村氏)。
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