東京23区の人口減「テレワークで移住説」は本当か 25年ぶりに23区の「日本人人口」が転出超過に

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では、賃貸はどうか。不動産情報サービスのアットホーム株式会社が毎月公表している「全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向」を見てみよう。

コロナ直前の2020年1月の23区の「ファミリー向き(50~70㎡)」物件の平均家賃は186944円だったが、最新の2021年12月では191863円となっている。家賃は景気動向に左右されにくいと言われるだけあって、その差は5000円弱、上昇率は2.6%ほどだが、終わりの見えないコロナ禍において、都心に住む必要性のなくなった人たちにとっては受け入れがたいものだろう。

「都心部の住宅コストは高騰し過ぎています。一方、サラリーマン世帯の所得はそう増えていませんから、一握りの富裕層や資産家しか購入できないし、業者も購買層を絞っています。23区が転出超過になった要因が「テレワークの普及」というのはあくまでサブの話で、根本的には住宅コストが上がり過ぎて住めなくなってきているため郊外へ転出しているとみています」(不動産専門のデータ会社・東京カンテイの市場調査部の担当者)。

新築マンションが8000万円超、賃貸の家賃ですら上昇傾向。子育て世代には、今の23区の住宅環境は厳し過ぎる。子育てのための住宅購入を機に地方や郊外へ引っ越す。そんなサラリーマン世帯の姿が目に浮かぶようである。テレワークが引き金となったかもしれないが、やはり住宅価格の高騰が転出超過・人口減の最大の要因ではないだろうか。

都内の「休廃業・解散」した企業は大幅減

もう一つ、気になる現象がある。コロナ禍での〝不況〟である。帝国データバンクが発表した『全国企業「休廃業・解散」動向調査』の結果によると、意外にも休廃業・解散した企業数はコロナ前に比べて大幅に減少している。しかしその内実は、政府系・民間金融機関による資金提供やコロナ対応の補助金が貢献した結果で、実際、東京都に限ってみれば、1万2123件と前年より増え、全国で唯一1万件を超えている。

2021年12月の東京都の有効求人倍率(就業地別)は0.90倍で、年間を通じて1倍を下回った。一方、東京都の失業率は2021年7-9月平均で3.1%と全国平均の2.8%を上回っている。コロナ前の2019年7-9月は同2.2%だったことを踏まえると、コロナ禍の経済状況悪化でリストラされたり、職を失ったりした人たちが東京から去っていった。そんなケースも相当数あるのではないだろうか。

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