住宅ローン控除「築年数緩和」の重すぎるリスク 築年数要件は事実上撤廃、中古の利点と問題点

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そこで国は、本来の制度趣旨とは異なる「逆ざや」状態の解消を目的に控除率の見直しを含めた制度の改革に着手。昨年12月24日、ついに「2022年度税制改正大綱」によって閣議決定された。2022年度税制改正が施行されるのは原則として4月1日となるが、通例に従い「2022 年1月1日」の取引から適用されている。

住宅ローン減税制度は、これまでも制度の内容に変更が加えられている。例えば、「2021年の税制改正」では、消費税率引き上げに伴い、消費税がかかる場合の控除期間は10年から13年に延長された。また制度の適用条件の1つである床面積要件緩和なども加えられている。

しかし、新しい「2022年度税制改正大綱」では、控除額そのものを引き下げるほか、既存住宅、つまり中古の物件についても大きな変更があった。以下、「2022年度税制改正大綱」で注視すべきポイントについて触れていく。

借入限度額は段階的に引き下げられる

まず先述したとおり、控除率が新築、中古住宅ともに1%から0.7%と引き下げられた。

さらにローンの借入限度額については省エネ基準適合住宅などに認定されない一般的な新築住宅では3000万円が上限となり、以前までの4000万円から引き下げられる結果となった。なお、2024年以降、借入限度額は段階的に引き下げられる予定となっている。一方で、控除期間は10年から13年への延長が決定している。

また中古住宅に関しても控除率が0.7%と引き下げられた。ただ借入上限額が2000 万円と、控除期間は一律10年とそれぞれ変わらず、現状維持となった(消費税が課税されない既存住宅の場合)。

その他、そもそも住宅ローン控除の対象となる所得要件が3000万円以下から2000万円以下へと引き下げられることも決まった。

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