成果を出す人が「地道に続けている」3つのこと 齋藤太郎×尾原和啓のクリエイティブ対談2

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尾原:たとえば、いまの若い人にとってハイボールは当たり前にあるものですけど、じつはサントリーさんが太郎さんたちと仕掛けたものです。ハイボールはウイスキーをソーダで割ったものですが、ウイスキーの売り上げはずっと下がりつづけていた。なぜならもともとウイスキーというのは、1軒目の居酒屋に行ったあと、2軒目のバーで飲むものだった。でもバブルが崩壊して、みんな2軒目のバーに行かなくなった。それを魚の目で時代の流れを見て、「1軒目からウイスキーを飲むためにはどうすればいいんだろう」と考えた。いっぽうでユーザーの視点で見てみると、「ビールはカロリーが高いけど、ハイボールはカロリーが低いよね」という意識も高まっていた。またお酒を出すお店から見ると、お酒の値段を下げて安売りしていかなきゃいけない。そんななかで、実はハイボールのほうが値段も下げられて、かつ粗利も高い。そこで「ウイスキーを売るにはどうすればいいか」という課題を、「最初の乾杯のとき、ビールではなくハイボールを飲んでもらうためにはどうすればいいか」というように本質からとらえなおしたわけです。クライアントと一緒にこういう仮説を立てるのは、コンサルでもなかなか難しいんですよ。なぜ、そういうことができるんですか?

齋藤:先ほど尾原さんが「地道なことが書かれている」っておっしゃったでしょう。たぶん地道なことができる、「地道力」があるからだと思います。課題の本質を一足飛びにとらえることはできないから、地道にやるしかない。じゃあ地道にやるには何が必要かというと、クライアントとの信頼関係なんです。つまり、いきなりホームランは打てない。場合によってはポテンヒットかもしれない。でも「こいつ、バントでもデッドボールでも、絶対塁に出るな」みたいにクライアントから信頼してもらえると、地道に課題の本質を探していける。

①信頼関係を構築する

齋藤:もっと言っちゃうと、人間って、どんなに正しい人でも、嫌いな人とは一緒に仕事をしたくないじゃないですか。

尾原和啓(おばら かずひろ)/IT批評家。1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、グーグル、楽天の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任(撮影:干川修)

尾原:そうですね。それは本当に太郎さんと僕の共通点かもしれない。

齋藤:コンサルタントでも、すごく正しいことを言うんだけれども、絶対にパートナーになれない人っていますよね。自分の目指しているゴールに向けて、人間関係を構築していかないと、どんな課題解決策も絵に描いた餅になってしまう。これは僕が営業を経験したから、できるようになったことですね。

尾原:そうですね、たしかに。この本はどうすればクリエイターじゃない人でもビジネスのクリエイティブ課題解決ができるかについて書かれた本だけど、実はクライアントとの信頼関係があるから、本に書いてあるようなことができるとも言える。そのためにクライアントとどう向き合うかというマインドセットについても、詳しく書かれています。

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