SUBARUと三菱「電動化」で目指す方向の決定的な差 東京オートサロンで発表されたEV2台の可能性

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スバルらしいフェイスデザイン(筆者撮影)

モータースポーツ用車両では、ガソリン車でも走行中にパワーロスを少なくするために、冷却システムも重要となる。それはBEVでも同じだ。当モデルには、フロントボンネット奥にインタークーラーを設置し、インバーターなどを冷却する。

ボンネット奥には、インタークーラーも設置されている(筆者撮影)

インバーターは、駆動用バッテリーの直流高電圧を交流に変換し、走行に必要な電力をモーターに供給するための装置だ。とくにBEVでは熱による電力ロスがパワー低減につながるため、インバーターの冷却は必須といえる。また、車体後部にはオイルクーラーも設置し、バッテリーやモーターの冷却を行う。

目指すはニュルブルクリンク最速、スバル&STIの意地

ルーフにも冷却用と思われるダクトが配置される(筆者撮影)

開発を進めるSTIの担当者によれば、この車両は2023年にドイツのサーキット、ニュルブルクリンク北コースで最速タイム記録に挑戦する予定だという。全長が約20kmにも及ぶロングサーキットで、高速から低速までさまざまなコーナーが170以上もあり、「世界屈指の難所」といわれるコースだ。レースはもちろん、主要な自動車メーカーでは、新型車のプロトタイプをテストするために、よくこのコースを使用する。STI E-RAコンセプトは、このコースで、中国メーカーのニオが製作した「EP-9」が持つ2ドア2シーター車の最速タイム記録6分45秒9に挑戦するという。

しかも、チャレンジは1周のみ。理由は、BEVの場合、現在市場にあるリチウムイオンバッテリーでは、2周以上を走行すると容量を大きくする必要があるが、それでは重量増となりタイムが出ない可能性が高いためだ。現在、バッテリーでは、リチウムイオンより小型化が可能な全固体電池の開発も進むが、車体向けではまだ実用化には至っていない。限られた条件下で、いかにパフォーマンスを出すかもモータースポーツでは重要なファクターとなる。サーキットは、まさに「走る実験室」である。そこで得たノウハウや技術の蓄積が、将来の市販車へ生かされるのは昔から変わらない。

ともあれ、STI E-RAコンセプトは、スバルがモータースポーツを起源とする自社の個性を生かしつつ、来るべきEVシフトへ対応するための実験車だ。近い将来、独自のテクノロジーを持った同社のBEV市販車が登場することに期待したい。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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