サマンサタバサが快進撃を続ける理由
赤字転落のどん底から今期は最高益更新へ

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成田店の出店セレモニーに参加した寺田和正社長(左)

ここに来て再成長を遂げている背景には、本業への経営資源集中がある。12年には、年間約6億円の赤字を出していた高級セレクトショップを閉鎖したほか、同じく赤字が続いていたネット通販会社も楽天に売却。不採算事業をことごとく整理した。

一方で、本業のバッグ事業では合成皮革製の3万円のバッグに替えて、国産で本革製の4万5000円のバッグを拡充するなど、ブランドの上質化を進めた。現在は店頭の約6割まで本革製バッグの割合を増やしたことで単価が上昇。前期は粗利率が前期比で約2%向上した。「経営の重しとなっていた事業から撤退し、バッグのブランド力を高めてきたことが現在の好調の下地にある」(菅原隆司常務)。

今後の成長に課題も

バッグ事業ではさらなる拡大にも布石を打つ。昨年末に立ち上げた新業態「サマンサ&シュエット」では、これまで未開拓だった郊外型ショッピングセンター向けに、1万円を切る低価格帯のバッグを投入。イオンモールを中心に9月末時点ですでに11店舗と積極出店をしている。この10月からは三越伊勢丹グループと連携し6万~10万円台の高級バッグブランド「ラプリュム」を立ち上げ、10代~50代まで顧客層の裾野拡大を狙っている。

ただ、今後の成長には課題も残る。子会社のバーンデストは既存店の減収が続くほか、昨年買収したばかりの若い女性向けの国内ブランド「レストローズ」も上半期は赤字の見込みと、アパレル事業は苦戦を強いられている。バッグ事業で絶好調が続く今こそ、「総合ファッションブランド」に化けるための、一段の改革が求められる。

「週刊東洋経済」2014年10月18日号(14日発売)、「核心リポート05」に一部加筆

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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