ソニーグループは2日、今期(2022年3月期)の連結営業利益予想(従来1兆400億円)を1兆2000億円に上方修正した。ブルームバーグが集計したアナリスト23人の予想平均1兆1031億円を上回った。しかし、半導体不足などにより家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の販売台数が伸び悩んでいることからゲーム事業の売上高予想は下方修正した。
同社の発表によると映画やゲーム、エレクトロニクス、音楽の分野が増益となることが、今期の営業益予想の増額につながったとしている。同社が営業益予想を引き上げるのは今期3回目で、2期連続で過去最高益となる見通しだ。ソニーGは今期から国際会計基準(IFRS)を適用している。
21年10-12月期の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」本体の販売台数は390万台で、4-12月期の累計販売は950万台だった。1480万台以上としていた従来の通期販売目標に対する進捗(しんちょく)率は64%だった。
十時裕樹最高財務責任者(CFO)は2日の会見で、今期の販売台数見通しを1150万台に引き下げたことを明らかにした。半導体を中心とした部材の供給制約や物流の混乱により、ゲーム機の生産に時間を要していることが背景にあると説明した。
来期(23年3月期)については、部材供給などの問題が継続するとみており、現時点で精度の高い見通しを話すのは難しいと前置きした上で「高い目標を持ってチャレンジしていく」と述べた。同社は昨年5月に来期は過去最高の2260万台を目指す方針を示しており、現時点でもその目標水準は維持している。
米国モーニングスターの伊藤和典アナリストはPS5について「想像以上に作れていない」とコメント。「来期は楽観的にみても1800万台が精一杯という印象」との見解を示した。
同社は、PS5の販売減影響を織り込んで今期のゲーム事業の売上高予想を2兆7300億円(従来2兆9000億円)に減額。しかし、販管費の抑制により同事業の営業益予想は3450億円(従来3250億円)に上方修正した。
ソニーGは、これまで未定としていた今期の期末配当を1株当たり35円とすることも発表。これにより今期は前期比10円増配の65円となる。
3Q営業益は32%増
第3四半期(10-12月期)の営業益は前年同期比32%増の4652億円だった。映画や半導体分野が大幅増益となったことが奏功したとしている。
発表資料によると、オンラインでゲームが楽しめる有料会員サービス「PSプラス」の第3四半期末の契約者数は4800万人と、前四半期末比で80万人伸びた。
ゲームコンサルタント会社カンタンゲームスのセルカン・トト代表は、同四半期に人気ゲームの発売がなかったにもかかわらず契約者数が伸びていることはソニーGにとって何よりも重要だと指摘した。
十時氏はコロナ禍の中、それぞれの事業で起こり得ることの予測を立て、早目に対応をとったことが第3四半期として過去最高の売上高と利益につながったと分析。一方で「PS5の旺盛な需要に対して十分に供給できていないことや、イメージセンサーの収益性の回復が当初の目論見通りに進んでいないことは課題としてしっかり捉えていきたい」と述べた。
(CFOのコメントを追加して記事を更新します)
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著者:古川有希、望月崇
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