長期投資の根幹とされる株式6割・高格付け債4割のポートフォリオは1月の運用成績が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期の相場急落以来最低を記録した。
米金融当局が2022年に従来予想より急ピッチに利上げするとの見方が市場で広がり、株式も債券も1月に急落した。当局のタカ派シフトは先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でさらに進み、ウォール街のエコノミストの間では年内に少なくとも5回、最大で7回の0.25ポイント利上げ観測も浮上している。
ブルームバーグが算出する「60/40」戦略の指数は1月のリターンがマイナス4.2%と、ロックダウン(都市封鎖)に伴いリセッション(景気後退)に陥った20年3月のマイナス7.7%以来最悪となった。
今後の利上げサイクルの間に当局がどこまで政策を引き締め、インフレや経済成長、企業収益がどの程度減速するかに大きく左右されると投資家は受け止めている。インフレ高進で当局が一段と積極的な対応を迫られれば、市場のボラティリティー上昇に拍車が掛かり、分散投資ポートフォリオのリターンが長期にわたり低迷する恐れがある。
クアドラティック・キャピタル・マネジメントのナンシー・デービス最高投資責任者は「持続的なインフレと低成長の結果として、株式と債券の両方が下落するスタグフレーション的環境が見られる可能性がある」と指摘した。
株式と債券のポートフォリオを長期保有する投資家は2018年を振り返るだけで、米金融引き締めがどうリターンを悪化させるかを知ることができる。60/40戦略の指数は同年に2.3%低下し、年間リターンはブルームバーグが07年に指数を導入して以降で2回目のマイナスとなった。もう1回は金融・信用市場危機下の08年。
長期的には、この戦略は1980年代初頭以来、年10%のプラスリターンを生み出しており、資産運用会社が401Kプランを持つ米国の労働者に提供する退職に備えた積立制度で人気の運用モデルとなっている。
この10年の大半にわたる60/40ポートフォリオの好調なパフォーマンスは、極めて低いインフレや債券利回りの限られた上昇と株高を反映していた。ただ2021年末の株式と債券のバリュエーションは極めて高い水準だっただけに、今後リターンを生み出していくには厳しい環境となる。
原題:
The 60/40 Portfolio Has Worst Loss Since March 2020 on Fed Shift(抜粋)
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著者:Michael MacKenzie、Ye Xie
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