長谷工コーポレーションの勝算、東急綱島駅近辺で“ドミナント施工”に挑む


脆弱な財務体質改善に心血注ぐ台所事情とは?

上場クラスのゼネコン各社幹部は、「マンションデベロッパーは、デフレ不況下でコスト意識がより厳しい。周辺住民や入居者のクレーム対応は面倒だ。儲からない物件は積極的に請け負いたくない」と口をそろえる。実際、大手ゼネコンは、高額な都心部の超高層や、駅前再開発とセットの大規模物件など、うまみがあるマンションにしか手を出していない。つまり、ゼネコン大手が、郊外型のマンション請負それ自体を敬遠ぎみで、その裏返しで長谷工の施工物件が目立つという側面もあるのだ。

こうしたゼネコン各社間の取り組み姿勢の違いは、マンションの施工精度という技術面でも散見できるようだ。先述の「継ぎ目が目立たないクロス素材の開発」は、マンション施工に特化する唯一のゼネコンだからこそのこだわりともいえる。

長谷工は、こうした開発成果を、事業主である不動産デベロッパーに積極的に提案する。こうした提案が他のゼネコンとの差別化につながれば、不動産デベロッパー側からの受注増に結び付くと考えるからだ。

こうした施工面の積極的な取り組みの陰で、長谷工コーポレーションが抱えるアキレス腱といえば、会社が自主再建を断念し、銀行団の救済支援を受けて今日があるという財務面の「負の遺産」だ。同社はバブル期の拡大路線が無謀だったツケで過小資本に陥り、1998年に自主再建を断念。これによって、取引銀行から債権放棄など金融支援を受けたという苦い歴史がある。

その後、中期経営計画を練り直しながら、着実に再建へのステップを歩んでいるものの、いまだ道半ばの状態にある。リーマンショックという荒波は乗り越えたものの、70円前後という低水準で低迷する同社の株価水準が、マーケットの厳しい評価を物語っている。

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