長谷工コーポレーションの勝算、東急綱島駅近辺で“ドミナント施工”に挑む


 長谷工は、首都圏で新規に供給される分譲マンションで断トツの2割を超える施工シェアを維持しながら、懸命に負の遺産である脆弱な財務体質の改善に心血を注いできた。長谷工にとっては、銀行団が保有する優先株の早期償却を実現し、普通配当を復活させるというのが、この負の遺産を解消することを意味する。そのメドは、4年後の14年9月30日。この日が、優先株式(第1回B種、発行価額450億円)の転換可能期間が訪れる前の「強制償還権」のタイムリミットに当たるからだ。

新築のマンション分譲事業を取り巻く環境は、人口減少や不況の長期化、持ち家に対する意識の変化で厳しい状況が今後も続くとされる。09年の首都圏マンション着工戸数は4万戸と、前年の6割減となった。今後マンションの供給戸数が増えない見込みは濃厚で、「そうであればシェアを高めることしかない」とある長谷工幹部は語る。

「業績を改善し、14年9月30日をメドとした優先株450億円の全額償還を目指す」(同)。それには、限られたマンション供給戸数というパイの奪い合いに打ち勝つ以外に道はない。

綱島エリアで物件の工事が集中した「ドミナント施工」をなぜ行うのか。この真相を探っていくと、財務面の課題を克服するため、長谷工が貪欲に工事を請け負う姿勢を貫き通した結果とも映る。この見方はうがちすぎだろうか。

「綱島エリアでの住宅供給過多に陥らないか心配」という、地元不動産業者の声も耳に残る。こうした懸念が杞憂に終わるかどうかは、先述の「ザ・ハウス港北綱島」の今後の売れ行きがカギを握っていることは間違いなさそうだ。


●長谷工が取り組む経営再建スケジュールと見通し
 (リーマンショックで中期計画の最終年度を12年3月期に1年延長)

(1)連結経常利益320億円、単独経常利益250億円
 →『会社四季報』の独自予想は連結経常利益197億円と、未達を予想

(2)有利子負債は2000億円(PFIローン除く)に圧縮
 →10年6月末時点で残高は2043億円、圧縮は順調で達成可能

(3)優先株(第1回B種)の強制償還期限を14年9月に変更
 →業績水準などを勘案すれば、今期中の償還はない見通し

(4)上記償還期限内に復配を実施したい意向
 →復配それ以前に、償還原資をどうひねり出すかなど、原資問題が浮上か


(古庄 英一 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン) 

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