無数の離婚を見てきた私が悟った「距離の置き方」 慰謝料1億円で別れたって心の平和は訪れない

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コロナ禍における人間関係の上手な〝清算″について考えてみます(写真:viola/PIXTA)
コロナ禍で、見えなかったものが見えてきた今、人間関係のソーシャルディスタンスも進み、濃密な近辺の人間関係の片づけを余儀なくされている人も。必要な人間関係とそうでない人間関係の見極めによって「コロナ離婚」という言葉も生まれました。
以前の日常が戻ってきたとしても、戻れないのが人の心。長年積もり積もった不満や恨みが、人間関係がぎゅっと狭まったコロナ禍で爆発してしまったら、その終着点は?
『ほどよく距離を置きなさい』の著者で、1万件の離婚問題を見てきた弁護士、湯川久子さんの言葉が答えをくれました。

離婚問題は「スマートに負けるが勝ち」!?

「浮気相手も夫も、幸せになんて絶対にさせない!」

「1億円の慰謝料を要求します!」

思えば、離婚相談では度々このような恨みを吐き出す場面に遭遇していました。

当事者は、相手方への怒りや憎しみが強すぎて周りが見えなくなっている状態ですが、復讐心から離婚調停や裁判をはじめるとほとんどの離婚はさらに苦しいものとなります。

人生をやり直したい、そのための離婚は、実は、「負けるが勝ち!」ってことを、ぜひ、知っておいてほしいと思うのです。

もう20年も前のことですが、こんなことがありました。

「浮気をして出て行った夫が許せない」という妻、夫はというと新しい女性との結婚を考えていて「自分が今払える慰謝料800万円を一括で払うから離婚してほしい」と告げました。

ほとんどの離婚で、有責配偶者からの慰謝料の額は当時200万から多くて500万程度でした。それ以上の額が提示されることはほぼありません。それは、現在もほとんど変わらない、あるいは、減っているでしょうね。

私は妻側の代理人として妻に、すぐに和解して慰謝料を受け取るようにすすめました。

ところが妻は夫への憎しみと復讐心で平静を保てなくなっていて、「1千万円の慰謝料を払わないなら離婚はしない」と譲らず、調停は不調に終わりました。

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