(第33回)国際競争力がない日本のサービス産業


 では、そのために何が必要なのであろうか。「日本人の繊細できめ細かなサービスは、他国では得られないものだ。だから、それを活用したサービスを展開すべきだ」と言う人がいる。確かに、日本人客室乗務員のサービスは細やかだ。アメリカのエアラインの乗務員が時として客を人間扱いしないことと比べると、雲泥の差である。しかし、それにもかかわらず、先に見たように、航空輸送で日本は1兆円近い赤字を記録しているのである。また、日本のコミックスは世界の若者の支持を得ていると言われる。しかし、額的に見れば、著作権は大幅な赤字なのである。

繊細さやきめ細かさは確かに重要だろうが、それだけでサービスの国際競争に勝つことはできない。「クールジャパン」を否定しようとは思わないが、それだけではサービスの貿易収支赤字を解決できない。付加価値の高い先端的なサービス産業の成長が不可欠なのである。そして日本には、その実現へのさまざまな障害があることを認識し、それを取り除く努力をすることが必要だ。

サービス産業の成長を拒む障害

日本でサービス産業を成長させるには、いくつかの障害がある。

第一は「言葉の壁」だ。製造業の製品を輸出するには、言葉は直接には関係しない(営業のために言葉が必要になるかもしれないが、製品そのものは言葉とは無関係だ)。しかし、サービス輸出の場合には、言葉が重要な意味を持つ(もっとも、言葉の壁は両面に働く。著作権の収支は現在でも赤字だが、仮に言葉の壁がなかったら、もっと赤字が拡大していた可能性が強い)。

第二は、人材の育成体制である。欧米の伝統的な大学には工学部がないが、日本の大学では明治期から工学部が重要な地位を占めている。これが日本の製造業立国に重要な役割を果たしたことは間違いない。

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