団塊ジュニアが直面する「親の75歳以降」4つの難題 2022~25年で団塊世代600万人超が後期高齢者に
幸いなことに団塊の世代の大半は、相対的に豊かな人が多い。月々の年金は大した事はなくても、前述のように彼らは豊富な貯蓄を持っていることが多い。加えて不動産を抱えている人が多い。実際に、団塊世代の持ち家率は86.2%(出所:内閣府、2012年現在、以下同)であり、そのうち一戸建ては75.3%、分譲マンション等の集合住宅が10.9%となっている。まさに大半の人が家を持っていると思っていいだろう。
相続税のほかにも維持費用がかかる
ところが、この不動産が団塊ジュニアにとっては大きな重荷になる可能性があると指摘されている。とりわけ都心部に不動産を持っている人は、まず相続税の問題があり、さらにそのまま相続して保有する段階になったときには「固定資産税」や「都市計画税」が重くのしかかり、大きな負担になる可能性が出てくる。
マンションであれば、「管理費」や「修繕積立金」が月額数万円の単位でランニングコストとしてかかってくる。不動産にはランニングコストがつきものであり、極端なケースで言えば、たとえば温泉付きの別荘を持っている親がいるとしよう。その場合には温泉の管理費やメンテナンス費用などもかかってくる。しかも、保有している限りついて回るコストだ。
地方の別荘地の物件が、10万円とか20万円の激安価格でよく売り出されているが、それらの大半は温泉の管理費用などで毎月一定のコストを負担しなければならず、保有しているだけで大きな負担になるために、処分を急いでいると考えるべき物件なのである。
最大で70兆円ともいわれる団塊世代の預貯金をそのまま遺産として残してもらえれば、不動産に少々コストがかかっても問題はないのかもしれない。しかし、団塊の世代も長寿であることに変わりはない。
人口統計からみれば、団塊世代の場合、男性の8割、女性の9割は現在も健在だが、その数字は80歳代では男性の6割、90歳では2割、95歳では5%になると予想される。それまで子どもに頼らずに有料老人ホームなどに入居していた場合、団塊世代の現預金は大きく目減りしている可能性が高い。
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