団塊ジュニアが直面する「親の75歳以降」4つの難題 2022~25年で団塊世代600万人超が後期高齢者に
いずれにしても、現在の日本の公的年金制度が破綻せずに維持できるかどうかは正直わからない。新型コロナウイルスの影響で、日本銀行は相変わらず量的緩和政策やマイナス金利政策を維持しており、今後年金制度を維持させていくことができるのかどうかも含めて、将来は極めて不透明だ。世界的には、インフレが大きな悩みの種になろうとしているが、日本の場合、インフレになっても金利を上げることができない社会構造になっており、インフレには弱い社会基盤になっている。
年金受給者にとって、インフレは最も恐れる事態と言える。インフレが当たり前になったとき、団塊の世代もまたその混乱に巻き込まれることは確実だ。
団塊ジュニアの未来を気にして滞留する70兆円?
団塊世代にはもう1つ大きな問題が残っている。彼らの子ども、いわゆる団塊ジュニアの存在である。
1990年代の不況期に青春時代を過ごした彼らは、フリーターやニートといった形で社会人にならざるをえなかった「就職氷河期世代」とも重なる。雇用者の4人に1人は非正社員と言う状況の中で、「下流社会世代」という言葉までが流行語となった。さらには、自立できずに親に依存して生きる「パラサイト・ジェネレーション」とも言われた。
つまり団塊世代の中には、50歳前後になって、いまなお自立できない子どもたちを抱えている世帯が少なからずあるのではないか。「8050問題」とも言われており、団塊世代の退職一時金が団塊ジュニアの未来を危惧して銀行に眠ったままとなって、日本の個人消費の伸びを抑圧していると言う分析もある。団塊世代を親に持つ世代にとっては、自分の親たちが今後歳を重ねていくにしたがって、これからは自分たちの自立も考えなければいけない人が、ある一定数に上るのではないか。
そんな状況の中で、最近クローズアップされつつあるのが、団塊世代が亡くなった後のリスクだ。日本の持ち家比率から考えると、団塊世代の8割程度は持ち家を持っている勘定になるが、これがまた大きなリスクになっていくと考えられる。これが第4のリスク「団塊世代の相続問題」である。
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