団塊ジュニアが直面する「親の75歳以降」4つの難題 2022~25年で団塊世代600万人超が後期高齢者に

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そもそも親の住んでいる不動産を相続したとしても、首都圏の平均的な住居の場合、敷地面積が200平方メートル以下の部分の住宅用宅地について適用される「小規模住宅用地の特例措置」がある。この特例措置があったとしても、固定資産税と都市計画税で年間15万円から20万円程度は覚悟しなければならない。この特例措置では、200平方メートル以下の部分は固定資産税が課税標準の6分の1、200平方メートル超の部分は同3分の1に、都市計画税もそれぞれ3分の1、3分の2に軽減されるのだが、これが適用されなければその金額はさらに大きなものになる。

空き家として放置しておけない

さらに大変なのは、空き家として放置しておくわけにいかないということだ。一戸建てであれば庭の雑草駆除や庭木の剪定をしなければならないし、ネズミなどの小動物が住み着いて近隣に迷惑をかけるような状態になれば、駆除費用などもかかる。むろん、メンテナンスもしなければならない。

マンションの場合も、住んでいなかったとしても、毎月数万円程度の管理費や修繕積立金は負担しなければならない。賃貸住宅として貸し出せばいいと考えているかもしれないが、人口減少の波はこれからさらに進んでいくことになり、簡単に賃貸住宅として埋まると考えるのは甘い。よほど立地のいいところでないとなかなか難しい。また賃貸に出そうとすれば、リフォームなどにお金がかかる。

社会は、住宅余剰の時代にさしかかっており、団塊世代が残してくれる財産は、ひょっとしたら団塊ジュニアの負担にしかならない場合もあることを忘れないことだ。

ちなみに相続放棄をすればいいと思うかもしれないが、相続放棄は不動産だけ放棄するというわけにはいかない。現金などの財産も一緒に相続放棄しなければならない。預貯金だけ相続して不動産は放棄するというわけにはいかないことを覚悟しておくことだ。

対策としては、生前贈与して賃貸物件化しやすいようにあらかじめリフォームしておく、あるいは亡くなる前に現金化してしまう方法などがある。不動産の専門家に相談しておくことだ。 

団塊の世代は、これまでもさまざまな場面で新しいトレンドや時代の変革を演出してきた。いわば時代の転換点の主役となってきた部分がある。本格的な老後を迎えてきた団塊世代がさまざまな仕組みを大きく転換させてしまうきっかけになってしまうかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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