上沼恵美子「YouTubeでも人気を集める」3つの理由 シニア向け動画少ない今「無双状態」にある彼女

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YouTubeを長く続けていくのが難しいのは、アイデアやモチベーションが枯れていってしまうからだ。ヒット企画を出して一時的に人気を博すYouTuberは存在するが、そのほとんどはすぐに飽きられてしまったり、ネタ切れに苦しんで更新ペースが遅くなってしまったりする。

しかし、上沼は企画に頼ることなく、しゃべりだけで聴衆を魅了する絶対的なスキルを持っている。これは、YouTuberなら誰でものどから手が出るほど欲しい技術なのだ。

テレビ番組ではさまざまな制約があるため、上沼のトークを100%堪能することはできない。だが、YouTubeでは何をしてもいいし、時間の制限もない。自分に興味がある人に向けて、好きなだけ発信をすることができる。圧倒的なしゃべりの技術を持っている上沼は、無尽蔵のコンテンツを所有しているのと同じ状態にあると言える。

YouTuber「カジサック」としても活躍しているキングコングの梶原雄太は、上沼を師と仰いでいる。そんな彼は「上沼さんはテレビでもカメラ目線で視聴者に語りかけるように話すから、YouTubeにも向いている」などと語っていたことがあった。上沼がYouTubeという媒体にたどり着いたのは、歴史的な必然だったのかもしれない。

まだまだ少ない「シニア層向け動画」

3つ目の理由は、上沼が狙う市場が独占市場になる可能性があるということだ。YouTubeに存在するコンテンツの多くは、若者や30〜50代の現役世代に向けて作られている。その上の世代に向けたコンテンツは増えてきているが、まだまだ少ない状態にある。

今どきスマホぐらいは誰でも持っているし、シニア層でもYouTubeは日常的に見ている。その層に向けた娯楽系のコンテンツは、需要に対して供給が追いついていない。ここが上沼の独占市場になる可能性がある。

上沼のYouTubeチャンネルは、ほかの若者向けのコンテンツとは競合しないので、人気の食い合いにならなくて済む。いわば、彼女はライバルがいない市場で、新しくビジネスを始められる状態にあるのだ。

上沼がYouTubeを始めるというのは、そんじょそこらの芸能人がやるのとはわけが違う。当然、大成功を収めるだろうし、その先にはさまざまな面白い展開も待ち受けていることだろう。1人のファンとして今後も注目していきたい。

(文中敬称略)

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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