アメリカ株は「懸念すべき投資先」になりつつある 今年は短期的にマイナス成長の懸念も出てきた

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インフレ沈静化に大きく舵を切り始めたFRB。アメリカ株は「上昇しにくい」から「懸念すべき投資先」になりつつある(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

筆者は昨年12月26日のコラム「2022年の米国株はあまり上昇しないかもしれない」で、「2022年のアメリカ株市場には大きな期待は難しい」と述べた。そして、昨年末からこの年明けにみられた出来事の多くは、同国株市場に対して慎重な筆者の見方をさらに強めた。

2022年のアメリカは短期的にマイナス成長の時期も

まずオミクロン株については、昨年12月半ばまで同国経済への悪影響は極めて限定的だった。だが年末から感染者の数が急増して、現在は感染者だけの数をとれば、デルタ株のときをはるかに大きく超えて増加中だ。

もちろん、オミクロン株は弱毒化しているとみられ、アメリカなどにおいても死者率は低い。ただ、入院患者数が昨年半ばを上回って増えており、経済活動への悪影響は昨年半ばのデルタ株感染拡大時よりも大きくなっている。例えば、1月中旬までに判明しているレストラン予約数の落ち込みは、2021年半ばよりも大きくなっている。

2021年のアメリカ経済は、コロナ感染の波があっても総じて高成長が続いた。家計への現金給付などの財政政策による景気押し上げ効果がとても大きかったので、コロナ感染の悪影響がほとんど相殺された。

だが、2022年は、財政政策による家計所得を支える政策はほとんどなくなる。昨年可決すると見られたビルトバックベター(より良い復興計画)は、1人の民主党議員が反対を貫いたことで、いつ実現するかわからない情勢になった。このプランについては規模が縮小されて実現する可能性は残るが、子育て世帯への税額控除が2022年から取りやめになるので、1月から家計所得は2021年対比で約1%分目減りすると試算される。

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