健康は「腸内環境が決める」と医師が断言する訳 腸内細菌の多様性が低くなる4つの要因とは?

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これらのリスクを認識し、食事、運動、睡眠など、腸内環境に影響を与えるような生活スタイル全般を改善し、できるだけよい腸内環境を作っていく必要がある。

すべての病気は「腸内細菌の乱れ」で説明がつく

現代医療では、心筋梗塞を起こした人は心臓の血管が狭くなり、血管を狭くする物質はコレステロールが原因であると考える。そのため再発予防のアプローチは、心臓の血管の検査を繰り返し、コレステロール値を下げていればよいと考えてしまう。

たしかに心筋梗塞の患者の心臓の筋肉の細胞を見ると、慢性の代謝障害、炎症、酸化ストレスによる変成が起こっている。しかし人間の体は都合良く一部分だけがダメージを受けるという構造にはなっていない。こういった変化を起こしている患者の脳の細胞、肝臓の細胞、腎臓の細胞も、同様のダメージを受けているのだ。

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病気というのはあくまでも、一番症状が目立つようになっただけであり、それが別の形、脳卒中や糖尿病や認知症やがんという形であらわれてきても不思議ではない。同じようにまだ何も症状がなくても、健康診断で血圧上昇や血糖値上昇、コレステロール値の上昇を指摘されているなら、全身の細胞の機能低下が起きていると考えなくてはいけない。

体は病気という形で体の細胞に異常が生じているというサインを出す。このサインを無視して生活していると細胞のダメージはどんどん進行していく。細胞には自らダメージを改善するメカニズムが生まれながらに備わっている。体のダメージが少ない段階では、生活スタイルを改善すると病気がなくなる人もいる。しかし多くの場合、病気になってからでは遅い。体の初期の変化の段階で手を打ち始めないといけない。

まだ症状があらわれていない段階でも、腸内細菌の異常は先行して変化し始めている。腸内細菌が乱れるとどんな疾患にもなり得るし、逆に腸内環境が良い人は病気になるリスクが少ないと考えられる。

病気の元は腸内細菌の乱れと考えると病気の予防法はシンプルになる。治療も腸内環境の改善も意識して行えば、進行を防ぐことにつながる。人の体の異常は腸内細菌の乱れとしてあらわれ、その結果、代謝異常、免疫異常、そして病気につながっていく。この流れを意識すると、腸の環境を整える腸活をする意義が理解できるだろう。

石黒 成治 消化器外科医、ヘルスコーチ

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Seiji Ishiguro

消化器外科医、ヘルスコーチ。1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸がん外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。

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