ローソン、「専用ビスコ」の深い戦略 原材料にこだわり、「お菓子で健康」を推進

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「おいしさに健康価値を付加していく」と語る商品開発担当の大山昌弘専務(撮影:今井康一)

「先日、デンマークまでバターを買い付けに行ってきた。産地にまで小売りが行くというのはあまりない」(大山専務)。

現在、乳製品は世界的な需要の高まりや国内酪農家の減少により厳しい調達が続いている。通常であれば商社を通して原材料を輸入するところだが、「商社は自分(商社)にとって都合のいいものや王道のモノ(乳製品であればニュージーランドなど)が多い。私も商社出身だから分かる。そうではなく、本当に自分たちが必要とする原材料は何なのか、というところから考えた」(大山専務)。

その結果、“オーガニックで乳化剤の入っていないもの”を仕入れることに決め、行き着いたのがデンマーク。価格も商社を通すより2割ほど安く仕入れられたという。「王道からずれたニッチなものは、商社には持ってきてもらえない」(同)。

ローソンでは原材料仕入部という20人ほどの専門部署が2003年に発足。2012年には原材料調達から製造まで一貫して関わる子会社も設立し、SPAの確立を目指してきた。国外での直接買い付けのほか、国産原材料の調達にも注力している。

食品の機能性表示に期待

さらに大きなチャンスと見込んでいるのが2015年春にも予定されている機能性食品の表示規制緩和だ。この緩和により「胃の調子を整える」などと表示できる食品が増える。

同社はローソンファームと呼ぶ自前の農場で農作物生産に着手しており、リコピンを多く含んだニンジンなど栄養価の高い野菜の生産や、メーカーと協力して品種改良にも踏み込んでいるという。ゆくゆくはこれらの野菜を商品化し、機能性表示をする考えだ。

ローソンでは昨年10月から「健康」という概念を戦略の柱に据えてきた。「人間にとって一番大切なのは健康。おいしさに健康価値がプラスできれば、新しいマーケットが作れるのではないか」と大山専務も、機能性表示の緩和には大きな期待を寄せている。

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