セブン-イレブンは、なぜ反動減と無縁なのか 増税で多くの小売りが苦しむ中で異色
「もともと消費の回復には半年ほどかかると言ってきたが、もう少しかかるかもしれない」。9月下旬、新業態店の発表会で、ミニストップの宮下直行社長は先行きの見通しに弱気だった。
小売りで苦戦している業態の一つがコンビニだ。大手各社の大量出店もあり、昨年から既存店の動向は芳しくなかった。そこに消費増税が重なったうえ、直近では天候不順も打撃となり、前年同月比の既存店売上高は8月に2.4%減少。「財布のひもが固くなっており、きついという印象はある」と、ローソンの大山昌弘専務は語る。
セブンの”絶妙”な値付け
こうした中、プラス成長を維持しているのは、首位のセブン―イレブンだけ。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「増税は心理的に相当な抵抗感があるが、値段を下げればいいという時代でもない」と強調する。同社は4月以降、弁当などオリジナル商品の8割をリニューアルした。商品改廃の早さでは有名だが、これだけ大規模な見直しは初めてだ。セブンのように需要を喚起する新商品を打ち出せるかが、明暗を分けるともいえる。
値下げには否定的だが、「セブンの値段設定は絶妙。同じような商品だとライバルと比べて10円から20円安いケースが多い」(メリルリンチ日本証券の青木英彦アナリスト)と、値付けのうまさも功を奏しているのだろう。10月2日に発表した中間期決算では半期ベースで過去最高益を達成している。