日本人は物価上昇の悪い面をあまりわかってない 国民は困窮して財政は好転、日銀の責務が重大だ

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これまで企業は円安を求めてきたが、現在の状態では、原材料価格の高騰を抑えるために円安是正を望むはずだ。

中央銀行の役割は重大

通貨価値の安定は、中央銀行に課された最も重要な責務だ。

各国の中央銀行は、新型コロナウイルス対策として行ってきた金融緩和から脱却し、インフレを抑える方向に明確に方向転換しようとしている。

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和からの脱却をはかり、金融引き締めに向かって懸命の努力をしているのは、中央銀行に課された責務を果たすための当然の行為だ。

イングランド銀行は、2021年12月に金融引き締めに転換し、利上げをきめた。オミクロン株の感染が広がり、経済活動を圧迫するおそれが強まっているにもかかわらず、こうした決定を行った。

ポーランド国立銀行も、1月4日に政策金利を引上げた。

韓国銀行は、1月14日、政策金利を0.25ポイント引き上げて1.25%とし、20年3月の金利水準に戻った。

日本銀行は、1月18日の金融政策決定会合で、2022年度の物価見通しを、これまでの0.9%から1.11%に引き上げた。しかし、金融緩和の基本的方向に変化はないとしている。

日本銀行がこれまでどおりの金融緩和を続けるのであれば、以上で述べたことがまったくの杞憂にすぎず、現在の金融政策を続けても国民生活が脅かされることはないと、説明する責任がある。

また、もし何らかの理由で、国民生活を犠牲にしても金融緩和を継続しなければならないのであれば、その理由を国民に納得できるように説明する必要がある。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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