「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが

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日本ではようやく3回目のブースター接種が始まったが、イスラエルではすでに4回目接種が行われている(写真:Noriko Hayashi/Bloomberg)

1年前は、新型コロナウイルス感染症のワクチンを2回接種するだけで——あるいはジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンなら1回で——十分な予防効果が得られると考えられていた。

しかし、驚くほど感染力の強いオミクロン株が出現し、イスラエルでは重症化リスクの高い人々を対象に4回目の接種が始まっている。アメリカ疾病対策センター(CDC)はブースター接種の対象を若者にも広げ、「ワクチン接種が完了した」という表現を用いるのを避けるようになった。2回接種ではもはや十分といえなくなったためだ。

これからは、ワクチン接種状況が「最新の基準を満たしている」のかいないのか、といった表現が使われることになるだろう。そうなれば当然、次のような疑問が出てくる。新型コロナワクチンの接種に終わりはあるのか、数カ月ごとに袖をまくり上げてブースター(追加)接種を繰り返すことになるのか、という疑問だ。

効果を裏付けるデータは存在しない

科学者たちはこのウイルスに何度となく予想を裏切られ、身の程を思い知らされてきたため、今後の見通しを示すことに乗り気ではない。ただ、今回の取材では10人ほどの科学者が、ウイルスが今後どのような展開をたどろうとも、全人口を対象に数カ月ごとにブースター接種を繰り返すのは現実的ではないし、科学的でもない、と話した。

イエール大学の免疫学者、岩崎明子氏は、「ワクチンを定期的に接種する例がほかにないわけではないが、半年ごとにブースター接種を繰り返すより、もっといいやり方があるだろう」と話す。

そもそも、数カ月ごとにワクチン接種の行列に並ぶよう人々を説得できるのかといえば、その勝算はかなり低い。アメリカでは成人の約73%がワクチン接種を完了しているが、ブースター接種を受けることを選んだのは今のところ3分の1強にとどまる。

「はっきりいって、これは長期的に維持できる戦略とは思えない」と、アリゾナ大学で免疫学を研究するディープタ・バタチャリア氏は指摘する。

同じく重要な点として、現行ワクチンによる4回目接種の効果を裏受けるデータが存在しないという問題もある(ただ、免疫不全の人は話が異なり、こうした人々は4回目接種で防御効果が高まることは十分に考えられる)。

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