「ブースター接種」はどこまで科学的に有効なのか イスラエルではすでに4回目接種も始まったが

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インフルエンザの場合は一般的に、冬の流行が始まる直前にワクチン接種を受けることが推奨されている。新型コロナもインフルエンザと同様、季節的に感染を繰り返す病気となる可能性があるが、そうなれば「毎年、冬の前にブースター接種を行うシナリオも考えられる」と、ペンシルベニア大学の免疫学者、スコット・ヘンズリー氏は語る。

さらにインフルエンザの教訓としては、頻繁に接種しても効果が期待できない、というものもある。インフルエンザワクチンを1年に2回接種しても、「それに比例して効果が上がるわけではないので、そこまで頻繁に接種を行う意味はないだろう」と、香港大学で公衆衛生を研究するベン・カウリング氏は言う。「頻繁なワクチン接種で免疫を強めるのは困難だと思う」。

あまりにも頻繁なブースター接種は害をもたらしかねない、といった懸念も出ている。これには理論上、2つの可能性がある。

1つ目の可能性は、免疫システムが疲弊して「アネルジー」という状態に陥り、ワクチンに反応しなくなるシナリオだ。大半の免疫学者は、こちらの可能性については低いとみている。

可能性がより高いとみられているのは、「抗原原罪」と呼ばれる2つ目のシナリオだ。この学説によると、免疫システムの反応は最初に接したウイルス株の記憶に引きずられるため、変異株に対する反応は大幅に低下してしまう。

オミクロン株には50カ所を超える変異があり、それまでの変異株とはかなり異なる。そのため、最初に感染が広がった新型コロナウイルスに反応してできた抗体では、オミクロン株をうまく認識できない。

ハーバード大学のワクチン専門家、エイミー・シャーマン氏は「これが問題となる可能性を示唆する証拠は十分にある。短期間で(ウイルスが)進化している状況を、私たちは間違いなく目撃している」と話す。

感染防止と重症化予防のどちらを目指すのか

定期的なブースター接種であれ、別の手法であれ、何らかの戦略を採用するには、まず政府が目指す目標をはっきりさせなければならないと専門家は指摘する。例えば、感染防止を目標にするのと、重症化の防止を目標にするのとでは、求められる戦略もまったく違ってくる。

「事態は急速に変化しており、どこに向かっているのかも見えない状況にある」と、エモリー大学の生物統計学者、ナタリー・ディーン氏は言う。「今後の展開がどうあれ、何を目指すのか、とにかく目標をはっきりさせなくてはならない」。

(執筆:Apoorva Mandavilli記者)
(C)2022 The New York Times News Services

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