砂糖価格、「買って売って買い戻す」不思議 独自の制度は末端価格にどう影響するのか

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仕組みは、少し変わっている。製糖メーカーが輸入粗糖を使うときは、購入した粗糖を、直近の米ニューヨーク先物市場価格を基本に為替や輸送費を勘案した「平均輸入価格(四半期改定)」で農林水産省傘下の農畜産業振興機構に売り渡す。売った粗糖を、今度は調整金を上乗せした金額で製糖メーカーが買い戻すことが義務づけられている。買って、売って、買い戻して、とややこしいが、差額となる調整金が国産糖関連業者への交付金の原資になる。

平均輸入価格の指標になるニューヨーク先物市場の粗糖価格は、このところ大きく下落している。サトウキビの主産地であるブラジルの収穫が順調なのに対して、世界的な需要は鈍調なためだ。

下落相場を円安が相殺

普通なら、先物価格につれて平均輸入価格も下がり、砂糖が値下がりしてもおかしくない。しかし、為替の円安が押し戻して、輸入価格の下落は市場の下落に比べて小幅にとどまり、末端価格の値下げはなさそうだ。

そもそも、調整金は国際相場が上昇すると下がり、下落すると上がる仕組みになっている。こうした調整制度の存在が緩衝材となって、国際相場の影響を緩和している側面がある。

ただ、調整制度が関与できない価格圧力もある。製糖メーカーは昨年11月に1キログラム当たり3円値上げしている。このときは相場の上昇もあったが、「円安で工場の燃料代が増えた」(製糖メーカー)ことが大きな理由だった。国際相場以外の要因で末端価格が変動する可能性もある、といえそうだ。

「週刊東洋経済」2014年10月11日号<10月6日発売>掲載の「価格を読む」を転載)

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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