砂糖価格、「買って売って買い戻す」不思議 独自の制度は末端価格にどう影響するのか
「お砂糖とミルクは1つずつでよろしいですか」。ファストフード店でコーヒーを注文すると、必ず聞かれる言葉だ。ただ、「いりません」とか「ミルクだけ」と応じる人も少なくない。
実際、砂糖の国内消費量は減っている。1970年代半ばの年間約300万トンをピークに、近年は約200万トンまで縮小。国民1人当たりの消費量も欧米諸国に比べると少ない。200万トンのうち約3割が国内産のサトウキビやテンサイを原料とした国産糖。ほかはタイや豪州から輸入した粗糖(原料糖)を製糖メーカーが精製し、販売する。
容易に想像できることだが、国産糖は原料の生産コストが高く、安価な輸入粗糖を精製した砂糖に、価格ではまったく歯が立たない。その価格差は「テンサイ糖で輸入粗糖精製品の2倍、サトウキビから製造する甘蔗(かんしょ)糖は5倍」(製糖メーカー)という。
内外価格差を埋め合わせる制度
サトウキビは沖縄県や鹿児島県の南西諸島、テンサイは北海道が産地で、それぞれの地域経済を支える基幹作物。環太平洋経済連携協定(TPP)で日本が“聖域”とする重要5品目に砂糖が名を連ねる理由だ。
この内外価格差を埋め合わせるのが「糖価調整制度」。安価な輸入粗糖に調整金を課す一方、国産糖の生産業者やメーカーに交付金を供与することで、価格が同水準になるように、文字どおり調整する。
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