菅義偉「国民の皆さんに伝え切れていなかった」 前首相が振り返るコロナ対策とこれからの展望
コロナとの戦いに明け暮れた1年だった
塩田潮(以下、塩田):政権担当は1年で終わりました。今、首相在任中の1年を振り返って、全体として「菅政治」をどう総括していますか。
菅義偉・前首相(以下、菅):いずれにしろ、コロナとの戦いに明け暮れた1年だったと思います。私自身、政治家となってこれまで、外で人と会って食事をしたりして、情報収集しながら政治を行ってきたのですが、2020年の12月以降は、それがゼロでしたから。
顧みると、やはり2021年の7月いっぱいで高齢者の約8割近くの人が2回のワクチン接種を終えることができた。デルタ株の騒動の中で、厚労省が「結果として、10万人を超える人たちの感染を防ぎ、8000人を超える人の命を救った」と発表しています。繰り返しになりますが、思い切ってワクチン接種を進めてよかったなと思います。皆さんが協力して、一致結束して2回の接種を終えることができた。
2021年6月の党首討論のとき、「コロナはいつ終わるんだ。先が見えないじゃないか」と言われました。一瞬、どうしようかな、と思ったけど、自分で計算して「10月から11月にかけて終える」と答えた。ワクチン接種も順調に進んでおり、その調子で増えていけば達成するだろうという目算でしたが、7月の進み具合がものすごくよかったから、予定どおり行くだろうと思いました。
塩田:2021年の10月以降、このインタビューの2021年12月22日まで、そのとおりの展開ですが、その要因はどういう点だと思いますか。
菅:1つは国民性があると思います。日本では、マスクをして3密を避けるなど、国民の皆さんが基本的なことをきちんとやってくれました。それと、医療関係の皆さんを始め、国が総力を挙げてワクチン接種に取り組んだ結果だと思います。
海外の場合は「7割の壁」というのがあります。イスラエルとかアメリカとか、6割ぐらいまでは早くいったけど、7割をなかなか越えられない。宗教の問題もあるかもしれません。日本はそのままの勢いで突き抜けて8割までいきましたから。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら