菅義偉「国民の皆さんに伝え切れていなかった」 前首相が振り返るコロナ対策とこれからの展望
塩田:「首相退任の際の心残りは、北朝鮮による拉致問題が進まなかったこと」という発言を目にしました。
菅:そうです。山があったのは事実です。ですけど、動かし切れなかった。それがやはり心残りですね。被害者のご家族の皆さまに大変申し訳ないという思いでいっぱいです。
塩田:首相在任中、拉致問題で何か新しい展開の端緒のような動きはあったのですか。
菅:そうしたことはありました。
塩田:どんな動きですか。
菅:いや、それは。
塩田:動きがあったのに、先に進められなかった理由は何だったのですか。
菅:いろいろな情勢がありますから。特に金正恩総書記に、本当に「私どもは無条件である」というシグナルをずっと送っていたのも、そういうことですね。
「コロナで」って、言っていますけど、それは理屈なんでしょうけれども。それは正直言ってわかりません。ただ、ここが心残りであり、申し訳ないと思っています。
「ワクチン最優先、新型コロナ対策最優先」だった
塩田:2021年9月30日が自民党総裁任期満了の日で、約1カ月前の9月3日の朝、自民党の臨時役員会で総裁選挙不出馬の意向を示して、事実上の首相退陣表明となりました。
菅:私は総裁選挙はやらないと思っていたんです。緊急事態宣言の期日を9月12日に設定しました。その日に解除できなければ、総裁選挙はやるべきじゃないと思いましたね。この日程の設定は極めて大事なところと思っていますけど、まずそういう思いがあった。
そして、緊急事態宣言を解除できるという見通しが立たなくなってきた。そういう状況で総裁選挙はやるべきじゃないという話です、責任がありますから。当然、いろいろシミュレーションはしましたが、基本は9月12日までに緊急事態宣言を終えられるかどうかが大きなポイントでした。「ワクチン最優先、新型コロナ対策最優先」とずっと言ってきましたので。
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