菅義偉「国民の皆さんに伝え切れていなかった」 前首相が振り返るコロナ対策とこれからの展望
塩田:コロナ対策も含めて、政権運営の点で、ここはまずかったなと思う点は。
菅:説明が足りなかったとか、よく言われましたが、私自身、秋田で生まれて、口下手でして。政治は結果を出すことだ、みたいな感じの気持ちが私はありました。国民の皆さんに伝え切れていなかったということはあると思いますね。
塩田:首相在任中の内閣支持率は、政権発足直後の比較では、小泉純一郎首相、鳩山由紀夫首相、細川護煕首相に次いで歴代4位の高率でしたが、その後、低迷しました。
菅:下がったり上がったりで、支持率というのはそういうものでしょうけど。コロナ感染が爆発的に拡大すると、比例する感じで加速度的に……。連動している感じでしたね。
最後のころは、気にならないと言えば、うそになりますが、こんなことはないだろう、ワクチン接種が進めば収まるだろう、という思いがありました。だけど、7月にワクチンをあれだけいっぱいやっても、その効果が表れるまで2週間とか20日ぐらいかかるといいますね。8月に支持率が落ちてくる中で、本当に感染が収まってくれるだろうかという不安はありましたね。
成長戦略4本柱はどの政権でもきちっとやっておくべき
塩田:支持率上昇のためのテコ入れ策は考えなかったのですか。
菅:それは考えませんでした。やはり私の使命はワクチンをしっかりやり切ることです。そのうえで、総理大臣として何をやるかと考える中で、すでに議論の段階は終わっているのに先送りしてきた課題について、決断すべきだと考えていました。その点では一挙にいろいろなことができました。
2021年6月に決定した「骨太方針」で、脱炭素社会の実現、デジタル化の加速、活力ある地方づくり、少子化の克服を成長戦略の4本柱と決めました。これは日本にとって必要とずっと思っていたことで、どの政権でもきちっとやっておくべきことです。
それ以外に、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の問題、安全保障上の重要な土地の利用を規制する法律の問題、75歳以上の後期高齢者の医療費負担変更の医療制度改革など、誰が政権を担ってもやらなければならないことを一挙に進めました。そうした点は二階俊博幹事長と森山裕国会対策委員長には、きちっとやりたいと伝え、そこは本当によくやっていただきました。
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