「ゲーム=悪いもの」と連呼する親が問題である訳 対等かつ民主的に子どもと話していますか?

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また、ゲームによって得られる能力があることも頭に入れておく必要があると思います。もちろん、ゲームの種類によって違ってきますが、目標に向かって試行錯誤しながら努力する力、情報収集力、判断力、記憶力、集中力、計画力などがつくゲームもあります。

孤独は中毒・依存症のリスクを高める

また、親としてはゲーム中毒・依存症が心配になると思いますが、家族とのコミュニケーションが不足しているなどの孤独な状態だとそのリスクが高まると言われています。それを防ぐには、先ほど言ったようなゲームに関する話題も含めて、日頃からの共感的なコミュニケーションを心がけることが大事です。

親は子どものことを心配してゲームについてガミガミ叱るわけですが、これによって子どもは、自分が大好きなことを親に理解してもらえないことと思い込み孤独を感じます。同時に、自分が否定されたとも感じます。

それで、かえってゲームにのめり込んでしまうことになります。そうならないためには、まずは親が歩み寄ることが大事で、ゲームを媒介に親子のコミュニケーションを深めるような方向で進めたほうがいいと思います。

また、ゲーム以外の楽しみがない場合も、ゲームにのめり込む可能性が高まります。ですから、ゲームのほかにもいろいろな選択肢を用意して、子ども自身が心から楽しめるものが持てるようにしてあげてほしいと思います。

ある家庭では、子どもの選択肢を増やそうと、釣り、スポーツ、電子工作、プラモデル、鉄道模型、金魚飼育、プログラミングなど、お試しでいろいろなことをやってみたそうです。1回でやめたものも多いそうですが、結局子どもはプラモデルと鉄道模型が趣味になり、その結果、ゲームをやる時間も減ったそうです。

以上、盛りだくさんになりましたが、とにかく大事なのは、ゲームについて親の考えを一方的に押しつけるのではなく、共感的で対等かつ民主的な進め方をするということです。そのためにも、ゲームについての考え方や対策について親自身の理解をアップデートすることも大切です。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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