「ゲーム=悪いもの」と連呼する親が問題である訳 対等かつ民主的に子どもと話していますか?

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例えば、目が悪くなるなど健康への悪影響、勉強時間やほかの活動の時間が減ることへの心配、ゲームの精神面への影響や依存症の心配、課金に対する不安などです。最初に親が子どもの話を共感的に聞いていると、子どもも親の話に耳を傾けてくれるようになります。

このように、親子で腹を割って本音を出し合い、お互いを理解し合うことが本当に大事です。同時に、実際に親が子どもに歩み寄ることも大切です。例えば、ゲームを一緒にやる、やり方を教えてもらう、子どものゲームの話を聞いてほめるなどです。

共感的な雰囲気の中で子どもとルールを作る

ゲームが好きな子は、ゲームの中で目標を持って自分なりの工夫をするなど、けっこう努力してがんばっています。ステージをクリアしたりレベルが上がったりすることで、達成感を感じたりもしています。

ですから、そういう話を親が共感したりほめたりしながら聞いてくれれば、子どもは非常にうれしいのです。そして、「自分のことをわかってもらえた。自分のがんばりを認めてもらえた。自分が大好きなことを受け入れてもらえた」と感じて、親への信頼感が高まります。普段は親とあまり会話しないような子でも、ゲームの話なら乗ってくるということもよくあります。

そういう共感的な雰囲気の中で、次の段階としてルール作りに進みます。ここでも、お互いの話を共感的に聞き合いながら、対等な立場で民主的に決めていくことが大切です。それは外交交渉のようなものであり、主張したいことは主張し、譲れるところは譲り、お互い納得できる着地点を見つけていきます。

このように子どもがルールづくりに関わることが大事で、それで初めて子どもも「ルールを守ろう」という気になれるのです。親が上から一方的に押しつけたルールは決して守られません。そして、ルールが決まったら、つねに意識できるようにホワイトボードに書いて明文化しておきましょう。

実際にルールを運用してみると、現実にそぐわない点が出てくることも多いので、そのときはまた話し合って修正していきます。そのためにも、すぐ書き換えられるホワイトボードがいいのです。

なお、ゲームの時間についてですが、ゲーム学習論などが専門の東京大学大学総合教育研究センターの藤本徹准教授によると、「1日3時間くらいまで、週21時間以下の範囲でゲームをする子どもであれば、日常生活に影響するようなゲーム依存の問題は出ていないという調査結果がある。心配であれば1日3時間を目安にするといい」とのことです。

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