日本振興銀行「破綻」の行く末、混乱なきペイオフの不安

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カギを握る資産査定

戦後初の「ペイオフ発動」と報じられたが、実は金融庁や預保の発表資料にはその文言が見当たらない。元本1000万円までとその利息分を保護対象にして預金を払い戻すのは広義のペイオフに当たる。狭義のペイオフとは、破綻銀行の清算処理を前提にしており、預保が預金者へおカネを直接支払う方式を指す。

これに対し、今回の破綻処理は、「資金援助方式」と呼ばれ、金融整理管財人となった預保の下、振興銀行が営業を続ける。その後、預保が設立した承継銀行へ暫定的に事業譲渡し、3年以内をメドに最終的なスポンサーを探す流れだ。同行の直近の預金量は約5800億円。ペイオフを強調して預金流出に拍車がかかるようだと、事業譲渡の目的と裏腹になってしまう。事業譲渡を予定する8カ月後までに満期を迎える預金には、従前の高い利息が支払われる。冒頭のように慌てて銀行に駆け込まずとも、解約の時期を考える猶予はある。

むしろ、「8カ月間」という時間が不安要素になるのは、振興銀行から借り入れをしている中小零細企業かもしれない。直近の貸出先は約4・5万件(買取債権が約2万、貸出債権が2・5万)。うち、資産が再査定済みなのは1割に満たない。今後、資産査定で貸出金の健全性を適・不適に切り分け、「適資産」は承継銀行へ譲渡される。預保は「善意かつ健全な借り手には、基本的に今後も融資を継続する」とするが、現在の経済状況で借り手の業績悪化が進んだ場合、貸し出しのリスクをどこまで許容するか。査定は時間との勝負になりそうだ。

14日の会見で自見金融相は、「特段の混乱は生じておらず、順調に進んでいる」と述べた。一般的な金融機関と違い、定期預金のみを受け付け、決済性預金を持たない特異な銀行だったため金融システムに影響は出なかった。だが、前例のない“ペイオフ”は緒に就いたばかり。最終的な出口探しまでに、思わぬ余波が生じる可能性もある

(井下健悟 =週刊東洋経済2010年9月25日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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