当時の日本を代表する総合電機メーカーの現在の時価総額は、次の通りだ。
ソニー:1567億ドル、日立:516億ドル、富士通:340億ドル、三菱電機:271億ドル、東芝:178億ドル、NEC:126億ドル、パナソニック:110億ドル。
これらすべてを合わせても3108億ドルで、サムスンの7割にしかならない。
これらすべてにトヨタを加えても、TSMCに及ばない。
半導体も、かつては、DRAMの分野で、日本メーカーが世界を制覇した。
いまは、台湾のTSMCが、世界のどのメーカーも追随できない製品を作っている。
日本政府は先頃、工場建設費の6割を負担してこの工場を日本に誘致することを決めた。
韓国や台湾では、通貨高が貿易収支の黒字を増大させ、経済成長率を高めて賃金を上昇させるという好循環が実現した。
それに対して、日本では、円安が貿易収支の黒字を縮小させ(あるいは赤字化し)、経済の停滞がもたらされた。
もちろん、韓国や台湾について、今後も今までのような路線を続けられるかどうかは、確実でない。
とりわけ、米中貿易戦争の影響は大きいだろう。
実際、韓国の貿易収支黒字は、2018年ごろから頭打ちになっている。これによって、経済成長も頭打ち気味だ。
また、TSMCの急成長も、半導体不足という短期的現象で増幅されている面がある(TSMCの時価総額は、2000年からわずか2年間で3倍以上になった)。
通貨安に対する民族記憶がある韓国と、ない日本
韓国が通貨安政策を求めず、通貨高を実現させたのは、1990年代末のアジア通貨危機の影響と思われる。
この時、韓国は、ウォンの暴落で国が破綻する瀬戸際まで追い詰められた。この時の経験が民族的な記憶となって、通貨政策に反映しているのであろう。
これに対して日本では、そのような経験がない。
しかし、それが以上で見たような、「亡国の円安」の進行を許す結果となった。
いま、異常なまでの円安が進んでいるにもかかわらず、国民が危機意識を持たないのは、日本は韓国のような経験をしていないためだ。
この状況から、何とかして脱却する必要がある。
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